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「侍義足」科学の粋 軽く強く 夢舞台駆ける
ソニーコンピュータサイエンス研究所・遠藤謙

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2016/9/9 3:30
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リオデジャネイロ・パラリンピックの陸上で、"侍義足"が世界デビューを果たす。男子100メートル(切断などT44)で佐藤圭太(トヨタ自動車)が右足に履く「Xiborg Genesis(サイボーグ・ジェネシス)」。ソニーコンピュータサイエンス研究所の遠藤謙(38)が2年以上かけて開発した、国産の競技用義足だ。

遠藤は競技用義足の会社を設立し、開発を続けてきた(東京都品川区)

遠藤は競技用義足の会社を設立し、開発を続けてきた(東京都品川区)

佐藤は、これまで多くのトップアスリートが使うアイスランドのオズール製義足だったが、今年春からジェネシスに履き替えた。5月に自らの持つ日本記録を0秒03更新する11秒82を出す。その後も好調で、昨年は12秒2程度だったアベレージが11秒9程度に上がった。義足について「オズールと遜色がないものができた」と満足げな表情だ。

遠藤はヒト型ロボットの研究をしていたが、高校の後輩が骨肉腫で足を失ったことをきっかけに義足に転向。ロボット型義足を開発する中で、元陸上日本代表の為末大と知り合い、競技用にも取り組み始めた。2014年5月に「Xiborg」を設立。佐藤ら3選手と専属契約を結び、為末が走り方を指導、その知見を生かした義足を作る。

海外勢が圧倒的なシェアを占める競技用義足は、スキー板を「し」の字に曲げたような板バネをどう形成するかがカギ。炭素繊維のシートを何枚も重ねてつくるが、2年前に試作した1代目を佐藤が履くと、いきなりパキッと割れた。機械で相当加圧しても大丈夫だったのに、人の力がかかると壊れる不思議。ここから義足のアスリートが、どう体を動かし、どんな力で地面を蹴っているかを解析する苦闘が始まった。

昨年春から東レや成型技術を持つ東レ・カーボンマジックの協力を得て試行錯誤を重ね、完成した4代目がジェネシス。大きな特徴は、オズールに比べて板バネがコンパクトなことだ。

海外製品は体格の大きい人向けに作られており、背の低い日本選手が使う場合、切断した足を覆うソケットと、板バネを接続するのに金属製のクランプをつけねばならず、これが重い。

ジェネシスはクランプなしでそのままソケットに接続できる。板バネ自体も、オズールより200グラムほど軽いという。軽い義足は速さにつながる。その分、「し」の字のカーブがきつくなるので成型が難しかった。そこを乗り越えた遠藤は「やっとスタートラインに立てた」と感慨深げだ。

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