眼鏡店運営の切り札 視力測定機を遠隔操作

2016/9/7 6:30
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眼鏡専門店のオンデーズ(東京・品川)は、店頭から離れたところでも視力などを測れる遠隔視力測定システムを導入した。本社のスタッフが測定機を操作し、店舗に置かれたモニター越しに接客する。国内の眼鏡店として初の取り組みという。訪日客への対応にも利用し、5年以内に国内全店の約半分の50店に導入する計画だ。

店舗での接客の質も上がる(東京都立川市の店舗)

店舗での接客の質も上がる(東京都立川市の店舗)

店内の測定機の横に21インチ(約53センチメートル)のモニターと小型のスピーカーを設置した。店舗のスタッフが電源を入れ、測定機を顧客の目に合わせる。測定機には顧客の声を集音するマイクをつけ、本社の社員と会話できるようにしている。

本社の社員が使うパソコンには専用のソフトが入っている。別画面で顧客の様子を確認しながら測定機を遠隔で操る。視力のほか、乱視や色覚などの検査もする。眼鏡の使い方などを直接聞き取り、顧客に合ったレンズを提案。通常の検査と同じ15分ほどで済む。

顧客は、事前に店舗のタブレット端末に名前や生年月日を登録する。本社側は、顧客を検索して測定結果を入力。店舗のタブレットに共有される仕組みだ。

現在はさいたま市と京都市の2店で試験的に導入。システムの提供はトプコンに依頼し、モニター越しに会話するだけでなく、「測定器を動かしながら検査することで接客が充実する」(明石拡士執行役員)という。

オンデーズの店員は20~30代の若手が多い。中高年向けの遠近両用レンズは通常のレンズよりも提案が難しく、経験が求められる。本社の社員は店舗での経験が豊富な40代以上が中心。中高年への接客を本社のベテランに任せて顧客に安心感を持たせるようにした。

遠隔サービスは人手不足に対応できるほか、店舗の若手にもベテランが接客する様子を見てもらい、接客力の底上げにもつながるとみる。

モニターを通じて本社が現場の様子をチェックし、教育もできる。同社の顧客は30代が中心。遠隔サービスを広げ、今後は老眼が始まるとされる40代以上を取り込みたい考えだ。

訪日客(インバウンド)需要の取りこみも進める。東京・秋葉原や沖縄など、訪日客が多い店には外国語が堪能なスタッフを配置しているが、その他の店では外国語対応が十分ではない。本社には英語や中国語のほかスペイン語やフランス語に堪能な外国人社員がおり、多言語の接客で商機をとらえていく考えだ。

現時点で本社のスタッフは3人。それぞれが自分の仕事の合間を縫って対応している。今後は導入店を広げるにあたり、遠隔で視力測定をする10人規模の専門チームも設ける予定だ。

海外でのサービス導入も視野に入れる。同社は東南アジアを中心に海外に50店以上を持つ。日本以外の多くの国では、眼鏡販売に関する規制は厳しい。19店を展開するシンガポールでは、視力測定は有資格者しかできないという。現在は資格者を店舗に配置しているが、遠隔システムを使えばより効率的に人員を使えるようになる。

 眼鏡の専門誌を発行する眼鏡光学出版(東京・台東)によると、2014年の国内の眼鏡市場は4008億円で、装用人口は7584万人。45歳以上の7割が眼鏡を使っている。低価格チェーンの台頭もあり、市場規模は1990年代半ばのピーク時に比べ3割強縮小した。パソコン用レンズの普及などで近年は横ばいだが、若者向けの販売は一服感が漂う。
2000年代以降、オンデーズをはじめ「JINS」のジェイアイエヌや「Zoff」のインターメスティック(東京・港)が台頭。企画から製造・販売まで一括して手掛けるSPA(製造小売り)で低価格攻勢をかけた。若者を中心に人気を集めたが、一人で眼鏡を何本も持つ顧客は少なく、需要は一巡した様子だ。
 一方で、今後成長が見込めるのが中高年向けの販売だ。遠近両用レンズなどの購入で単価が高く、今後も人口増加が見込める。「眼鏡市場」のメガネトップ(静岡市)や三城ホールディングスも若者向けの業態を展開するが、あくまで主力は中高年以上の顧客だ。低価格チェーンも近年は高級感のあるフレームに力を入れるなど、中高年の顧客を巡る競争は過熱している。

(企業報道部 河野真央)

[日経産業新聞9月7日付]

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