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守・破・離への道(岡田武史)

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サッカーW杯最終予選、アジアの戦いは甘くない

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2016/9/1 6:30
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2018年にロシアで開かれるサッカーのワールドカップ(W杯)出場を懸けたアジア最終予選が9月1日から始まる。6大会連続出場を目指す日本の周囲には「出ること自体は当たり前」みたいな空気が漂っているらしい。W杯予選を監督として2度戦った経験からいわせてもらうと、アジアの戦いはそんな甘いものではない。

■過去の予選、何度も薄氷踏む思い

日本代表の(左から)香川、本田、岡崎。過去の予選もすいすい勝ち上がったことはない=共同

日本代表の(左から)香川、本田、岡崎。過去の予選もすいすい勝ち上がったことはない=共同

組分けを見れば、イランや韓国と違うグループになったのはよかったといえる。かといって、日本が属するオーストラリアやサウジアラビアがいるB組も決して簡単ではない。過去の予選を振り返っても日本がすいすいと勝ち抜いたことなど一度もないだろう。世界各地の予選の中で「最速」で本大会出場を決めたりするから破竹の進撃のような印象を与えるけれど、当事者にすれば、薄氷を踏む思いを何度もしているものだ。

例えば、06年ドイツ大会を戦ったジーコも最終予選の初戦で「あわや」という思いをした。05年2月9日の北朝鮮戦(埼玉スタジアム)。開始4分で小笠原満男(鹿島)のゴールで先制しながら、61分に同点にされ、大黒将志(山形)の決勝点が決まったのは追加タイムに入った91分だった。次のアウェーのイラン戦で日本は1-2で敗れたから、このホームの初戦で引き分けていたらパニックになっていたかもしれない。

楽に勝ち抜いたように見えるザッケローニ(14年ブラジル大会監督)にも厳しい局面があった。最終予選のアウェーのオマーン戦は90分の岡崎慎司(レスター)の決勝ゴールで救われた。アウェーのヨルダン戦は落としたし、ホームのオーストラリア戦で本田圭佑(ACミラン)が同点PKを決めたのも試合終了直前だった。

「ここを落としたら結構やばいかも」という試合を際どく拾ったことなど、出場権を獲得してしまうと、人は忘れてしまうものらしい。

私の話をすれば、日本が初めてのW杯出場を決めた1998年フランス大会のアジア最終予選の際はいろいろなことを考える余裕はなかった。とにかく、勝つ確率を高めることにまい進したのだった。

■小野の抜てき、「試合に勝つため」

本大会では当時18歳の小野伸二(札幌)を連れていった。それを「将来性を買って代表に入れた」と評する人がいたけれど、決してそういうことではなかった。当時の日本代表の攻撃の核は中田英寿で、その存在は、大会期間中にケガでもされたら穴埋め不可能なほど大きかった。もし、そういう事態になったらどうするかを考え抜いて、出した結論が「小野の天才に懸ける」ことだった。将来の投資というより、小野の抜てきも「目の前の試合に勝つ」ためにやったことだった。

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