研究開発費半減 変わる東電研究所

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2016/8/26 6:30
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東京電力ホールディングス(HD)の研究所に変化の芽が見えてきた。グループの経営再建に合わせて名称を「技術開発研究所」から「経営技術戦略研究所」に変更し、再出発してから1年あまり。動き始めた改革のキーワードは2つある。「脱・自前主義」と、あらゆるモノがネットにつながるIoTを駆使した省力化への挑戦だ。

容量が3倍以上の蓄電池を開発する(東電HDの経営技術戦略研究所、横浜市)

容量が3倍以上の蓄電池を開発する(東電HDの経営技術戦略研究所、横浜市)

事業に直結する成果を生み出さないと存在意義を失いかねない――。名称に付いた「経営」という文字には、そんな危機感が込められている。

横浜市内の研究所。実用化を模索する研究テーマの1つが「張るセンサー」の開発だ。長さ10センチメートルほどで本のしおりのように薄いが、ワイヤレス(無線)通信機能を持つ。狙う用途は電力設備の点検作業の効率化だ。

ケーブルが複雑に絡み合う地下の送電設備のあちこちに張り付け、継続的にデータを取得。設備の劣化を監視する。作業者の目視より効率や精度が高い。今年度中に取り付けを始め、計500キロメートルに及ぶ地下ケーブル設備で実用化をめざす。

この研究が従来と異なるのは「オープンイノベーション」を取り入れたことだ。電力会社の研究所は自前主義の傾向が強い。大手電力各社が類似のテーマを個別に研究しているケースも多い。

一方、団塊世代の離職で熟練作業者が減る現場では省力化が不可欠だ。

そんなとき大阪大学の関谷毅教授が開発した医療用センサーが目に留まった。額に張って脳波を測定する技術だが、電力にも応用できると考えて共同研究を始めた。設備基盤技術グループの河村直明氏は「足りない技術は外から力を借りる意識が出てきた」と話す。

オープンな環境は、意識の変化にもつながる。従来は研究者の興味本位で進めるテーマも多かったが、まず現場のニーズを考えるようになった。

IoTの活用でも成果が見え始めた。

「この作業者の動きはちょっとムダが多いんじゃないか」。情報通信技術グループは社員の行動分析を進める。

変電所内にビーコンと呼ぶ小型受信機を十数個設置。作業者が持つスマートフォンから位置データを収集し、パソコン画面上に記す。作業員が動いた軌跡や、その歩数、作業場所での滞留時間などが一目でわかる。

きっかけは数土文夫会長が率いる「生産性倍増委員会」だ。トヨタ自動車OBを招き、あらゆる作業にカイゼンを求めるが、現場から「何から始めればいいかわからない」という声。そこで「現状を数値化し、改善点を見える化するツールを考えた」(情報通信技術グループの大橋敏明氏)。

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