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五輪初の「金」 ブラジル代表に3つの意義
サッカージャーナリスト 沢田啓明

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2016/8/25 6:30
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「カンぺオン・ボウトウ!」(チャンピオンが帰ってきたぞ!)。20日夜、ブラジルサッカーの「聖地」マラカナン競技場。サッカー男子決勝戦のPK戦でブラジルの5人目ネイマールがゴール右上へ蹴り込むと、数万人の地元観衆が飛び跳ねながら絶叫した。表彰式の後になってもこのチャントはスタジアムの通路にこだまし、観衆がスタジアムの外へ出てからも延々と続いた。本当は、彼らはこのフレーズを2年前にこのスタジアムで叫びたかったに違いないのだが……。

■近年、国際大会で苦汁なめ続け

表彰台で大喜びのブラジルイレブン=共同

表彰台で大喜びのブラジルイレブン=共同

近年、ブラジル代表は国際大会で苦汁をなめ続けていた。A代表が最後にビッグタイトルを獲得したのは、ワールドカップ(W杯)なら2002年、南米選手権なら07年まで遡らなければならない。

決勝の相手は、14年W杯準決勝で1-7という歴史的惨敗を喫したドイツ。五輪は原則として23歳以下の大会ではあるが、因縁の相手を撃破して初の金メダル獲得となれば、より一層の値打ちがある。ブラジルが準決勝でホンジュラスに圧勝すると、その時点ではもう一つの準決勝がまだ始まってもいなかったにもかかわらず、スタンドの観衆は「ドイツ、(今度こそやっつけてやるから)待ってろよ!」と叫んだ。決勝でのリベンジを切望したのである。その思いは、選手たちも同様だったはずだ。

ただし、結果的に優勝したとはいえ、決勝の試合内容は「見事にリベンジを果たした」とは言い難い。

11分、ドイツのMFブラント(レバークーゼン)のミドルシュートがクロスバーをたたき、肝を冷やす。26分、ネイマール(バルセロナ)がFKをねじ込んで先制。しかし、その後はドイツに押し込まれ、33分にも右CKからのMFスベン・ベンダー(ドルトムント)のヘディングシュートがクロスバーを直撃する。

後半も、序盤はドイツが主導権を握る。59分、右サイドを突破し、右SBトルヤンからのクロスをMFマイヤーが右足で決めて同点。ブラジルは勝ち越し点を狙うが、ネイマール、ガブリエルバルボサ(サントス)、ガブリエルジェズス(パルメイラス)らがドリブル突破やパス交換を封じられ、逆にドイツの鋭いカウンターを浴びて最終ラインが辛うじて食い止めた場面が何度もあった。

■若いドイツ選手の精神的たくましさ

延長に入ると、ブラジルはMFフェリペアンデルソン(ラツィオ)とMFラフィーニャ(バルセロナ)を投入して攻勢を増す。しかし、ドイツ守備陣が粘り強い対人マークと忠実なカバーリングでゴールを死守した。

巨大なスタジアムを埋め尽くした地元観衆の地鳴りのような大声援の中で、常に冷静にプレーする若いドイツ選手の精神的なたくましさは見事だった。

PK戦では、4人目まで互いに決めたが、ドイツの5人目ペーターセン(フライブルク)のキックをブラジルGKウェベルトン(アトレチコ・パラナエンセ)が止め、ブラジルはネイマールが落ち着いて決めた。

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