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カブス快走 勝つのはマドン・マジックか 呪いか
編集委員 篠山正幸

(2/2ページ)
2016/8/23 6:30
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これはかつて日本のプロ野球で西鉄の三原脩監督が稲尾和久投手の苦手な打者が出てきたときに、一塁を守らせたのと同じ。この奇策が日本で「緊急避難」と呼ばれたことをマドン監督は知るよしもない。しかし、その「柔らかアタマ」は魔術師と呼ばれた三原監督に通じるものがある。

グラウンドでの采配ばかりでなく、グラウンドに大型の動物をつれてきて即席動物園とし、選手や家族に楽しんでもらうなど、チームの融合に余念がない。カブスに在籍していたソフトバンク・和田毅が失速気味のチームの気分転換のため、プロマジシャンを選手サロンに呼んだ。マドン監督が同様のショーで、チームをなごませたことがあり、それにならったものだという。

采配決まる舞台裏にはタネも仕掛けも

キテレツに見えるマドン采配が決まるのにはどうやらわけがある。舞台裏にはタネも仕掛けもあるのだ。

マドン監督には大リーグ経験はない。2006年にレイズの監督に就任してから徐々に頭角を現し、08年には球団創設11年目で初の地区優勝、アメリカンリーグ優勝を果たし、ワールドシリーズに進出した。このときは日本の岩村明憲選手も二塁手として輝きを放った。

ワールドシリーズではフィリーズに敗れたが、低予算のレイズが同じア・リーグ東地区のヤンキースやレッドソックスなど金満球団の鼻を明かしたことで、マドン監督の声価は一気に高まった。

この手腕に目をつけたのが長年の低迷から飛躍をはかりたいカブスだった。引き抜きに近い形で、15年から監督に招いた。

地域密着型の球団が多いメジャーで、カブスは数少ない全国区の人気を誇る球団。1876年創設で、メジャー最古の球団の一つ。本拠地リグレー・フィールドもレッドソックスのフェンウェイパークに次ぐ古さを誇る100歳の球場だ。

しかし格式に比して、成績はさっぱり。敗者の年月を重ねるうちに、いつの間にか、まことしやかなストーリーがついて回るようになった。

その一つがヤギの呪い。

1945年、カブスはリーグ優勝を果たし、タイガースとのワールドシリーズに臨むのだが、3勝4敗で敗れた。シリーズ第4戦で、いつも入場を許していたヤギ連れのファンを締め出し、恨みを買ったところから、カブスは勝てなくなったといわれる。

新興のメッツと優勝を争った69年には、直接対決の際、なぜか不吉な黒猫が現れ、そこから失速した。これが黒猫の呪い。呪いとはいいながら「日本昔話」みたいな牧歌的な気分のある挿話の数々が、いかにカブスが人々に愛されているかということの証左といえる。

カブスはナ・リーグ中地区でカージナルスに12ゲーム差をつけ、2008年以来の地区優勝はみえてきた。

カブスを勝たせることは現在の大リーグに残された最大級の難事だ。1945年以来のリーグ制覇、1908年以来のワールドシリーズ制覇ととんとん拍子にいくかどうか。呪いが勝つか、マドン・マジックがそれを打ち破るか、目が離せない。

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