解説者の目(水巻善典)

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ゴルフ日本勢が五輪でも活躍する必須条件

2016/8/21 14:55
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ゴルフ女子最終日の野村敏京(はるきょう)は惜しかった。ボギーなしの6バーディー、65と猛チャージ。第2回パリ大会以来116年ぶりの競技実施となった五輪での銅メダル獲得には、1打及ばなかった。それでも15位からスタートし、元世界ランク1位のステーシー・ルイス(米国)、梁熙英(エイミー・ヤン、韓国)と並び、通算9アンダーで4位に食い込んだのは見事だった。

通算9アンダーで4位に食い込んだ野村の奮戦は見事だった=共同

通算9アンダーで4位に食い込んだ野村の奮戦は見事だった=共同

野村の奮戦、米ツアーでの自信が背景

上位選手が強風に苦しんだ3日目を1オーバーと粘った。最終日、スタート前のパッティンググリーンで丸山茂樹ヘッドコーチがついてパット練習する姿を見たら、3日目のときよりも構え方がよかった。ストローク時にパターのフェースが開き、押し出し気味でボールの転がりが悪く、パットがやや弱かったのを修正できていた。2番でティーショットがバンカーにつかまり、いきなりピンチを迎えたが、7メートルのパットを沈め1パットパーを拾う。3番で3メートルのバーディーパットを決めると波に乗った。今季はスイングを変え、ショットも安定。米ツアーでは初優勝を飾り2勝を挙げた。その自信が五輪での奮戦につながった。

最終日は朝から強風が吹いた。天候悪化を予想して男女を通じ初めてアウト、インに分かれてスタート。メダル争いをする選手にとっては油断ならない雲行きだったが、2日目に首位に立った朴仁妃(パク・インビ、韓国)にとってはどこ吹く風。3番で3メートル弱を決めると、一気に3連続バーディーで後続を突き放した。最終日も7バーディー、2ボギーの66で回り、通算16アンダーで悠々逃げ切った。初日から66、66、70、66と4日間すべてアンダーパーをマーク。2位のリディア・コ(ニュージーランド)に5打の大差をつけた。圧巻の金メダルといえよう。

左手親指を故障し、米ツアーでは4月から5月にかけて1カ月間戦線離脱。6月の全米女子プロで予選落ちした後は、リオ五輪が初めての実戦だった。故障にブランク。国の期待も背負い、相当なプレッシャーがあっただろう。だが本人の表情を見ている限り、感情の起伏はまるでなく、落ち着いて常に冷静にプレーしていた。ミスにも動揺せず、バーディーを奪ってもそんなに喜ばない。周りで見ているゴルフファンからすれば、喜怒哀楽に乏しいプレースタイルは、ちょっとおもしろみに欠けるのかもしれないが、そこに彼女の強さがある。ティーショット、アイアン、アプローチ、パットと総合力が高く、すきがない。特にパットのうまさは秀逸だ。2008年全米女子オープンを19歳で制し、13年にはメジャー年間3勝。昨年は全米女子プロで3連覇を果たし、全英リコー女子オープンで「グランドスラム」を達成した。メジャー通算7勝。今年6月に史上最年少で世界ゴルフ殿堂入りを果たしている。抜きんでた力を、リオでも発揮した形だ。

東京でメダル獲得、選手強化欠かせず

優勝した朴は総合力が高く、すきがなかった=共同

優勝した朴は総合力が高く、すきがなかった=共同

出場辞退が続出した男子と違って、女子は世界ランク上位選手がこぞって出場した。元ランク1位の朴は現在5位。18番でバーディーを奪う勝負強さを発揮した銀メダルのコはランク1位、銅メダルのフォン・シャンシャン(中国)は14位で、ほぼ実力通りの結果ともいえる。コは韓国系選手で、4位タイには梁。予想通り韓国選手は強かった。何しろ日本ツアーで圧倒的な強さを見せる昨季の賞金女王、イ・ボミでさえ世界ランク16位で、韓国勢の8番手、五輪出場には及ばなかったのだから。

野村とともに五輪に挑んだ大山志保は、残念ながら8オーバーの42位に終わった。強い風が吹き、グリーン上でも影響があった。大山は日本代表として強い気持ちを持って臨んだがショット、パットとも不安定で、気合が空回りした。09年に1シーズン、米ツアー参戦しているが、世界ランク上位選手といつも戦っているわけではない。首痛で試合を休んでいたことも響いただろうし、強豪が集うフィールドで戦う経験のなさが、今回の結果につながったのだと思う。海外で戦うことが、五輪でも活躍する必須条件だろう。

4年後には東京五輪が待つ。体操や柔道、卓球のようにメダル争いをしてくれないことには、ゴルフに対する注目度も高まらない。多くの子どもたちがゴルファーに憧れ、クラブを握ってみようとはなかなかいかないだろう。東京でのメダル獲得へ、男女とも選手強化にもう少し力を入れる必要があると思う。

(プロゴルファー)

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