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輝いた四連星、陸上男子400リレー過去最高の銀
洗練バトンに個の力が融合

2016/8/21 10:07
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山県亮太にケンブリッジ飛鳥、桐生祥秀、飯塚翔太と近年の日本の男子短距離陣が充実の陣容を誇るといっても、100メートルの9秒台ランナーは一人もいない。それで400メートルリレーで銀メダルを獲得したのだから、衝撃度は高い。歴史的快挙を成し遂げた鍵が2001年に導入したバトンの「アンダーハンドパス」だ。

お互いが腕を伸ばして距離を稼ぎ、上に向けた手のひらにバトンを乗せるオーバーハンドに対し、アンダーハンドは下向きの手のひらに、下から押し込むように渡す。2人の走者が接近して受け渡しをするため、オーバーハンドより確実性が高く、フォームが崩れにくいとされる。

世界の主流ではない方法を追究する過程で生まれた成果が、2008年北京五輪の銅メダル。1928年アムステルダム大会女子800メートル銀メダルの人見絹枝以来、80年ぶりの五輪トラック種目のメダルだった。

リレーメンバーは日本独自のアンダーハンドに毎回改良を加えてきた。今大会は受け手と出し手がこれまでより腕を伸ばして距離を稼ぐ「改良型」を採用。20メートルのバトンゾーンに前後10メートルを加えた40メートルの区間を3.75秒でバトンが通過するように練習を重ねてきた。

第1走者の山県は「自分たちの歴史もつくるんだ」という気持ちだった=共同

第1走者の山県は「自分たちの歴史もつくるんだ」という気持ちだった=共同

その成果が出たのが18日の予選でマークした37秒68の日本新記録だった。14年アジア大会で中国にアジア初の37秒台を出され、北京五輪銅メダルメンバーの高平慎士が心底悔しがってから2年。ようやく日本も「38秒の壁」を超え、予選の1つ前の組で中国が更新したアジア記録をも塗り替えた。

決勝では20メートルのバトンゾーン内で、実際に受け渡しに使う区間をやや長くしたという。その長さ、1走(山県)―2走(飯塚)間と2走―3走(桐生)間は靴4分の1足分、3走―アンカー(ケンブリッジ)間は2分の1足分。この微調整が受け渡しの際にゆとりを生み、37秒60とさらにタイムを更新した。

日本は確実性の高い「アンダーハンドパス」を採用。飯塚(右)桐生へとわたされる=代表撮影

日本は確実性の高い「アンダーハンドパス」を採用。飯塚(右)桐生へとわたされる=代表撮影

情報の共有、蓄積によりバトンパスの精度が高まり、今では「違う選手が入っても同じ結果が出せる」と日本陸連の苅部俊二・男子短距離部長。飯塚と同じ200メートル代表だった高瀬慧のメンバー入りを最後まで模索、層の厚さをうかがわせた。

同じリレーのメダルでも、苅部部長の受け止めは銅を獲得した北京とはやや趣が異なる。失格チームが出て好機が巡ってきた北京は「不安の方が大きかった」のに対し、個々の能力が高い状況で迎えた今大会は「狙ってメダルを取った。自信の方が大きかった」。

リーダー役の飯塚は「走力で勝ち取ったメダル」と話す。今季は山県とケンブリッジが100メートル、飯塚が200メートルで自己ベストを更新、桐生も100メートルで自己タイを出した。バトンパスの技術力に走力を加え、「自分たちの歴史もつくるんだという気持ちでやった」(山県)先に前人未到の偉業が待っていた。

(合六謙二)

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