解説者の目(吉村祥子)

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20年へ大いなる希望 若手躍進のレスリング女子

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2016/8/20 6:30
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パーフェクトだった前日の流れを受け継いでの全階級金メダルこそならなかったが、6階級に増えた今大会で「金」が4つ、「銀」が1つ。ベテラン勢と初出場の若手がいい具合に一体感をかもし、ともに躍動してくれた。リオデジャネイロ五輪の結果は、日本の女子レスリング界において、次世代を担う選手が確実に育っていることを示してくれた。

研究され、追われる立場の吉田(下)は銀メダルに終わった=共同

研究され、追われる立場の吉田(下)は銀メダルに終わった=共同

絶好機生かせれば…悔やまれる吉田

53キロ級の吉田沙保里は残念ながら銀メダルに終わり、伊調馨に続く4連覇達成は逃した。決勝戦までの3試合は無失点で危なげなく勝ち上がった。タックルの切れ味がよく、グラウンドでの攻防でもきっちりポイントを奪った。研究を重ねるライバルたちの「吉田包囲網」を感じさせない素晴らしい動きだった。

決勝の相手は米国のマルーリス。昨年の世界選手権決勝で吉田に惜敗し、今大会での最大のライバルと目されたマットソン(スウェーデン)と準決勝で対戦し、フォール勝ちしていた24歳の精鋭だ。日本勢とも何度も対戦していたなじみの選手だったが、この1年間で体格も変わり、急成長を遂げた印象を受けた。

強固な守りでタックルを警戒するマルーリスに対し、吉田も頑張って攻めていたが、右足へのタックルに入った2度の好機をいずれもポイントにつなげられなかった。あの絶好機を生かせていれば……と悔やまれる。

それでも吉田は、研究されるのが当たり前となった立場ながら、よく決勝までたどり着いた。その戦いぶりからは、対戦選手が練ってきた対策を乗り越えようという、努力がひしひしと伝わってきた。4連覇こそならなかったが、2004年から五輪に出場し続け、その全てで決勝まで進出した。伊調に勝るとも劣らない偉業だと思う。

川井はスピードを保ちつつ筋力をつけた努力が実り頂点に=共同

川井はスピードを保ちつつ筋力をつけた努力が実り頂点に=共同

川井は持ち前のスピード生かし戴冠

吉田は全日本合宿など日ごろの練習でも率先して声を出し、盛り上げてくれる。今大会は日本選手団主将という重責を担う立場でありながら、チームを引っ張ってくれた。彼女の存在があったからこそ、女子レスリング界に4個の金メダル獲得という成果がもたらされたといってもいい。涙に暮れた銀メダルではあったが、その奮闘には金メダルと同等の価値があると思っている。心から「ありがとう」と言いたい。

五輪初出場だった63キロ級の川井梨紗子は本番を迎える前から調子を上げており、素晴らしい試合をしてくれた。細かい手さばきをまじえた動き、足首をつかむ低い体勢からのタックルへの対応は、大型選手ほど苦手にするところ。相手の力技をまともに受けない上手な組み手で、自分が得意とする間合いを保った。スピードという川井の長所が、この階級で最大限に生かされたように映った。

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