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男子マラソン、日本勢に必要な勇気と粘り

市街地を走り抜けてフラメンゴ海岸沿いの周回コース(3周)に入ると、ほとんど木陰がない。女子マラソンが行われた14日はよく晴れたので、強い日差しを受け続けながらのレースになった。

トップ集団のケニアやバーレーンの選手が序盤に頭から水をかぶっていた。予想に反して海風もなかった。にもかかわらず、優勝タイムは五輪記録と1分しか違わない2時間24分4秒だった。

ケニア、エチオピア勢が強力な顔ぶれ

女子マラソンが行われた14日はよく晴れ、強い日差しを受け続けながらのレースになった=共同

4月のロンドンマラソンで世界歴代2位の2時間3分5秒を出し、マラソン7戦6勝のE・キプチョゲ(ケニア)を筆頭にケニア、エチオピア勢が強力な顔ぶれだけに、厳しい条件下でも2時間7分台のハイレベルな優勝争いになりそうな気がする。

常識的な見方をすると、日本の北島寿典(31、安川電機)、佐々木悟(30、旭化成)、石川末広(36、ホンダ)がメダルを取るのは非常に厳しい状況だ。雨で涼しくなったとしても入賞ラインは2時間9分台になると予想されるので、3人とも自己ベストを出すつもりで走らなくてはならない。

北島はマラソン3戦と経験が浅いが、2レースで優勝している。感覚的に勝負のポイントをつかんでいるのだろう。周りの選手をうまく利用してレースを進め、25キロ以降の勝負どころでのペースアップにもうまく対応している。今年3月のびわ湖毎日マラソン(自己ベストの2時間9分16秒を記録)では、最後のトラック勝負で競り勝って日本人トップの2位に食い込み、五輪切符をつかんだ。

アフリカ勢のペースアップ、恐れずに

実力的に考えると、アフリカ勢の急激なペースアップには対応が難しいが、感覚的にいけると思ったら恐れずついていく勇気が必要だ。五輪となると不安が生じるだろうが、これまで培ってきた感覚を信じて走ってほしい。経験の浅い北島には型にはまらない思い切ったレースを期待している。

佐々木は学生時代からハーフマラソンや箱根駅伝などロードで実績を積み上げてきた。初マラソンだった2009年のびわ湖毎日で7位入賞後、着実にレース経験を積み重ねて日本のトップクラスへと成長してきた。良くも悪くもマラソンをよく知っているといえる。

過去のレースでは考え過ぎて、勝負どころでちゅうちょすることもあった。しかし、昨年12月の福岡国際では思い切りのいいレースをして、自己ベストの2時間8分56秒で日本人トップの3位に入った。

その福岡でほぼリオ行きを確実にしていたので、五輪に向けた準備期間を十分取れた。所属する旭化成には暑い中で森下広一さんがバルセロナ五輪で銀、谷口浩美さんが1991年東京世界陸上で優勝した実績があるので、暑さ対策のノウハウも蓄積しているはずだ。伝統を受け継いだクレバーな走りを期待したい。

男子マラソンに出場する(左から)佐々木、北島、石川=共同

ベテランの石川は過去に大きな失敗がない。今年3月のびわ湖毎日では最後まであきらめない粘りを発揮して2時間9分25秒の4位につけた。今回も最後までしっかり戦い抜く気持ちを失わないでほしい。

暑い中でのレースになれば、アフリカ勢でも先頭集団からこぼれると、あきらめて失速する選手がいる。ロンドン五輪の中本健太郎のように30キロ以降も5キロを15分台でまとめれば、入賞のチャンスが見えてくるはずだ。

私は初の五輪だった96年アトランタ大会の1万メートルでは、何が何だか分からないうちに終わってしまった。2度目の2000年シドニー大会はそこそこ力を出せた。しかし、レース中の判断ミスがあり、いかなくてはいけないときにいけなかったという反省点が残った。

勝負どころのタイミング、逃さないで

今回の五輪を見ていると、陸上に限らず他の競技でも大事なところで思い切って勝負にいった選手が好結果を残している。やはり勝負どころのタイミングを逃してはいけない。

女子マラソンの日本勢は最初にアフリカ勢がペースアップしたときについていかなかった。男子もトップがペースを上げてレースが動いたとき、集団に入っていかなければならない。

集団の後ろにいるほど、揺さぶりがあったとき、その波が大きくなり、余分な力を使うことになる。集団を見渡せて、動きに素早く反応できる位置取りが重要になる。暑くなると給水が非常に重要なので、ボトルを取りやすい位置にいる必要もある。

前半から激しい揺さぶりが予想されるが、少なくとも25~30キロまでは我慢して先頭集団に入っていたい。もし、集団からおくれてしまったとしても、それぞれが選考レースで見せた粘り強い走りを見せてほしい。

 花田勝彦(はなだ・かつひこ) 1971年京都市生まれ。早大競走部で活躍し、武井隆次、櫛部静二とともに「早大三羽ガラス」と呼ばれた。96年アトランタ五輪の1万メートル、97年アテネ世界陸上はマラソンに出場。2000年シドニー五輪では1万メートルで決勝に進出し15位。04年に引退し、新設された上武大駅伝部監督に就任。5年目から8年連続で箱根駅伝に導いた。今春、GMOインターネットが設立した男子長距離チーム「GMOアスリーツ」の監督に就いた。

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