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「覚えてない」 レスリング登坂、劇的逆転の金

2016/8/18 12:31
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準決勝まで無失点だった"不沈艦"スタドニクの右足を登坂のタックルが初めて捉えたとき、時計は残り12秒を指していた。こらえる相手を持ち上げ、引っ張り倒し、ねじ伏せる。「何をどう触ったかも覚えていない」という22歳の若き女王が無心でつかんだものは、金メダルへつながる細い糸だった。

女子48キロ級決勝でアゼルバイジャン選手を攻める登坂=写真 柏原敬樹

女子48キロ級決勝でアゼルバイジャン選手を攻める登坂=写真 柏原敬樹

世界選手権3連覇という輝かしい経歴を引っさげて臨んだ初の五輪。初戦以外は全て逆転勝ちという結果は、多くの試練を乗り越えた末の戴冠だったことを示している。

準決勝は2月のアジア選手権で約3年半ぶりの黒星をつけられた孫亜楠への雪辱戦だった。序盤に2点を先行されたが、相手のタックルをつぶして背後に回って2点を取り返し、そのままアンクルホールドへ。「決まらなければやられると思って死に物狂いで」ゴロリゴロリと転がして、一気に8点まで上乗せした。

そして決勝。昨年の世界選手権決勝で下したスタドニクとの再戦は、内容も既視感を覚えるほどの逆転劇だった。パワフルなベテランにリードされ、残り時間わずかとなって「もうここしかない」と起死回生のタックル――。このシナリオは計算外だったという。

前回の反省で描いた作戦は先行逃げ切り。場外に押し出されるなどで失った2点に「若干パニックになった」と登坂は打ち明ける。ただ、立ち上がりからの積極性は徒労ではなかった。「早めに仕掛けたから相手もバテた。後半勝負でいいと思っていっていたら負けていた」と栄和人チームリーダーは分析する。

「意識の差が結果の差。目標あって結果あり」。小学生の頃、三日坊主でやめてしまったレスリングノートに父がいつの間にか書き込んでいた言葉だ。心に刻み込まれたメッセージは、この日の結果を言い表している。

「落ち着いたらいろんな人の顔を思い出した。出たくても出られなかった同じ階級の先輩が、自分が五輪で勝つためにサポートしてくれた。そういうことを思い出した」。たくさんの思いを背負って戦うという意識が、女子レスリング界の新たなリーダーを目標へたどり着かせた。

(本池英人)

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