解説者の目(田中和仁)

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示した体操の美しさ 日本の強み、20年まで磨け

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2016/8/17 16:30
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白井健三(日体大)が種目別の跳馬で達成した新技の伸身ユルチェンコ3回半ひねりは、すごいのひと言だった。なぜこれだけの技ができるのか。僕自身にも完全に理解するのが難しいくらいだ。

種目別の跳馬で見せた白井の新技は、すごいのひと言だった=共同

種目別の跳馬で見せた白井の新技は、すごいのひと言だった=共同

団体総合の決勝では3回ひねりを実施し、余裕を持って着地している。だからこそもう半分ひねりを加えることができるのだろうが、跳躍の高さや、回転の速さが必要なのはもちろん、最初のひねり出しが少しでも遅れるとダメ。全ての条件がそろわないと、3回半ひねりというのはなかなかできない。

白井の新技成功、種目のレベル上げる

この技の難しさはひねりの数だけではない。3回ひねりなら、着地時の体勢は後ろ向きになる。体の構造的に、足元の状況を目で確認しやすい。3回半ひねりでは前向きの着地になり、足元は一瞬しか見ることができない。より長い時間、下を確認しようとすると、回転が足りずに尻餅をついてしまう危険性がある。

練習時には着地が横にずれることもあったが、本番では左右のラインをオーバーすることもなく、着地も問題なく決めた。

これまで不可能と思われていた技でも、1つ成功例が出ることで、練習でチャレンジする選手も増えるだろう。白井の成功によって、種目のレベルがさらに上がっていくかもしれない。

2本目のドゥリックスもいい跳躍ができた。金メダルの大本命とみられていた2日前の床運動は順位を気にして緊張感があったようだ。技の難易度で評価するDスコアからすると、跳馬は白井にとって金メダルは簡単でない種目。チャレンジしようという思い切りがプラスに働き、新技の成功と、銅メダルという結果に結びついたのだろう。

加藤は種目別平行棒で大きなミスなく終えた。今後につながる演技だ=共同

加藤は種目別平行棒で大きなミスなく終えた。今後につながる演技だ=共同

力を出し切った平行棒の加藤

種目別の平行棒に臨んだ加藤凌平(コナミスポーツ)も、持っているものは全て出したのではないか。最後の技の難度をこれまでのDからFに2段階上げるというチャレンジをしながら、大きなミスなく終えた。今後につながる演技だったと思う。

難度を上げた結果、加藤のDスコアは6.8となったが、金メダルのベルニャエフ(ウクライナ)は7.1。4位に終わった中国の選手も7.4に達していた。今大会はDスコアで7点以上を出さないとメダルは厳しいというハイレベルな戦いだった。現時点での加藤からすれば、7位という成績も悪いものではないだろう。

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