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伊調、奥義求めて 理想の技磨き 4連覇へ

2016/8/17 3:30
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これまで3大会は女子レスリング日本代表の最若手として伸び伸びと戦った伊調馨(ALSOK)も32歳になった。4つだった実施階級が6つに増え、一気に後輩たちが増えた今回は吉田沙保里に続く2番目のお姉さんとしてリオにやってきた。

高度な攻めを模索する伊調=共同

高度な攻めを模索する伊調=共同

「これまでは甘えん坊だったんですけど、これからは後輩が活躍していく時代。沙保里さんと2人で4連覇を達成して、傷痕を残して去りたいと思います」。冗談めかして"引き際"を語るが、連覇記録や現役生活そのものにも執着しないのは本心だろう。

何度も本人が繰り返しているように、今の伊調が目指すのは勝利そのものではなく「納得できるレスリング」。ロンドン五輪前に始めた男子選手との練習を通じて知ったレスリングの奥深さを体感することが喜び。相手を誘い込むフェイントや理詰めの組み手で、より高度な攻めを模索し続けてきた。

追い求めてきた理想は「やりがい」と言い換えてもいい。国内には伊調を倒そうという気概を示す若手も少なく、58キロ級から逃れるように階級変更する選手が後を絶たなかった。獲物のいない広野にポツンと取り残されたライオンの心境だろう。「悔しいというか、物足りない」と吐露したこともある。

越えるべき壁が見えない中で、ひたすら技術を追求するという達人めいた境地に至りつつあった。そんな伊調をほんの少し現実世界へ引き戻したのが今年1月の敗戦ではなかったか。

無名のモンゴル選手に0-10のテクニカルフォール負け。「自分を見失った」と振り返ったように、久しぶりの劣勢で慌てた面もあったろう。

13年ぶりの黒星で、盤石のイメージに傷が付いたのは事実。「進化を求めすぎて、手さばきや動きにこだわりすぎているのかな」とチームリーダーの栄和人は危惧する。五輪前最後の実戦だった6月の国際大会でも優勝はしたが、準決勝は2失点、決勝も4失点と完璧な内容とはいえなかった。

だからといって本人に迷いはない。「取って取られてという自分の理想のレスリングができるのは強い選手。その方が『今のはいいタックルだったな』とか、満足感が強い」。強敵と攻め合う、しびれるような戦いこそが求めるものだから。

「あの敗戦が実ったといえるような試合ができればいい」。納得のいく内容を得られれば、おのずと4連覇の偉業もついてくる。=敬称略

(本池英人)

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