解説者の目(田中和仁)

フォローする

難しかった心の準備 体操・白井、ミス連発

(2/2ページ)
2016/8/15 14:01
保存
共有
印刷
その他

さらに影響が大きかったのは、もう一つの要素だろう。試合後のインタビューで白井は「団体での金メダルから気持ちの持続が難しかった」と言っていた。

日本のチーム全体で掲げてきた団体金という目標を達成した後、白井はこの日の演技まで中5日も空いた。集中力を保ち、もう一度演技をする精神状態に持って行くのは困難だったはずだ。

内村もラインオーバーをしてしまった。彼には珍しい失敗だった=共同

内村もラインオーバーをしてしまった。彼には珍しい失敗だった=共同

他の国際大会では、種目と種目の間にこれだけ日程が空くことはなかなかない。これも五輪ならではの落とし穴だったかもしれない。

白井自身はメダルを取れなかったことより、本来の演技ができなかったことが一番悔しいだろう。この五輪で最後の演技となる種目別の跳馬までに、もう一度気持ちを立て直せるかがカギになる。

「腰がこわれても」…見事だった内村

特に、新技のユルチェンコ3回半ひねりは、精神的な集中がないと決めるのは難しい。最後に白井らしい演技を見せてほしい。

5位に終わった内村航平(コナミスポーツ)は、最初の後方宙返り3回半ひねり―前方宙返り1回半ひねりでラインオーバーをしてしまった。同じミスはいつ以来だろうと思い出して分からないくらい、彼にとっては珍しい失敗だった。

個人総合決勝の最後の鉄棒で腰を負傷。痛みを抱えての演技だった。腰に故障があると、床を蹴る時に痛みが出る。空中でのひねりや、着地時にも支障が出る。万全でない体から生まれる微妙なずれがミスにつながったのだろう。

この技以外は、ある程度プラン通りの演技ができていた。3位のオヤカワ・マリアーノ(ブラジル)との点差は0.192。ラインオーバーによる0.3点の減点がなければ、銅メダルは取れていたことになる。

試合後の内村は「腰が壊れてもいいから出てやろうと思っていた」と話していた。メダルには届かなかったとしても、応援してくれる人たちのために最後まで演技するという覚悟は十分伝わる演技だったのではないか。

(ロンドン五輪銀メダリスト)

解説者の目(田中和仁)をMyニュースでまとめ読み
フォローする

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

体操のコラム

電子版トップスポーツトップ

解説者の目(田中和仁) 一覧

フォローする
男子団体総合の金メダルを手に笑顔の(左から)山室、内村、田中、白井、加藤=共同共同

 白井健三(日体大)が種目別の跳馬で達成した新技の伸身ユルチェンコ3回半ひねりは、すごいのひと言だった。なぜこれだけの技ができるのか。僕自身にも完全に理解するのが難しいくらいだ。
 団体総合の決勝では3 …続き (2016/8/17)

演技を終えた白井。団体予選でもミスは出たが、これほど多発するとは…=共同共同

 白井健三(日体大)の床運動で、着地にこれほどミスが相次ぐのは珍しい。前半のリ・ジョンソンで後ろに一歩動く。中盤の連続技、前方宙返り1回ひねり―前方宙返り3回ひねりでは危うく尻餅。最後の後方宙返り4回 …続き (2016/8/15)

常にぶっちぎりで勝ってきた内村=共同共同

 近年、見たことのない展開になった。常にぶっちぎりで体操の個人総合を制してきた内村航平(コナミスポーツ)が、残り1種目を残して他選手の先行を許しているなんて。
 最初の床運動。団体総合の決勝では6種目め …続き (2016/8/11)

ハイライト・スポーツ

[PR]