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「たまごっち」誕生20年 まだまだ成長中

バンダイナムコホールディングス傘下、バンダイの「たまごっち」が今年、誕生から20周年を迎える。手軽に持ち運べる電子玩具、キャラクターを育成する「育てゲー」の代表的存在として定着。過剰在庫で一時生産中止になるなどの苦難を乗り越えて、スマートフォン(スマホ)ゲーム全盛の今も人気商品として成長を続けている。ロングセラーの秘密を探った。

親子2世代から支持

7月、東京都渋谷区のたまごっちグッズ専門店「たまごっちデパート原宿」はにぎわっていた。子供とともに訪れていた30代の母親は「私も初代たまごっちで遊んでいた」と懐かしそう。別の小学校2年生の女児は「好きなキャラはラブリっち」と笑顔で話す。マレーシアから来た女性2人組の観光客は「友達に頼まれた」と、新作を4個バスケットに入れていた。

最近は海外人気俳優のオーランド・ブルームさんと交際相手の歌手、ケイティ・ペリーさんがおそろいの白いたまごっちを身につけてファッションイベントに登場。誕生から20周年を迎え、親子2世代から愛され、国際的に支持される定番商品となった。

バンダイは近年のたまごっちの販売動向について詳細な実績を明らかにしていないが、決算関連資料の数字を足していくと、2012年3月期時点での累計販売個数は約7860万個。今年3月時点での累計販売個数が「8100万個超」であるから、直近の4年も平均で年60万個以上が売れている計算になる。

安定のロングセラーの地位を、どのように築いたのか。大成功と急ブレーキを経て、新機能の追加と話題づくりで消費者を飽きさせない「勝利の方程式」を確立したことが大きい。今年7月に発売した新作では、09年に取りやめていた「キャラクターが死ぬ」機能が復活したと話題になった。

「育て方によって性格や姿が変わる卵形の携帯ペット」――そんな紹介文とともにバンダイがたまごっちを税別1980円で発売したのは96年の11月。バンダイ出身者が創業したウィズとの共同企画商品で、店頭に並ぶ端から売り切れる一大ブームとなった。

電子ペットでありながらゲーム上で食事を与える必要があるなど、あえて実際の生き物に近い面倒くささを設けた点がうけた。世話を怠ると「死」を迎えるのも画期的だった。多くの人々が感情移入するようになった。

海外でも人気となり、発売から約2年半で累計4000万個を販売。一時は生産が追いつかない状況が続いた。男児向けに育成ゲームに「戦わせる」要素を足して企画された「デジモン」もヒットするなど、ほかの展開にも影響を与えた。

爆発的なヒットは家庭用ゲーム機器「ピピンアットマーク」の失敗に苦しんでいたバンダイの業績に貢献したが、ブームが収束すると一転して重荷となった。99年3月期には過剰在庫の処分で60億円を計上して姿を消した。

とはいえ、一時は社会現象になった商品。02年ごろから復活の準備に取りかかり、04年の新しい「たまごっちプラス」シリーズ発売にこぎ着けた。

 復活の裏には組織を挙げた「反省」がある。90年代にブームの収束時期を見誤り在庫を抱えた点を重視。社内にたまごっち関連事業を統括する「チーフたまごっちオフィサー(CTO)」を設置し、出荷に関する判断を各部門バラバラにせず、情報をCTOに集約し迅速な意思決定ができるようにした。現在、CTOを務める飛田尚美取締役は「需要予測の精度も上げている」と話す。

消費者を飽きさせないため、機能拡充にも気を使う。04年発売の2機種では赤外線通信や携帯電話とデータをやり取りする機能を搭載。他人のキャラクターと友達になり、「結婚」して子供も生まれる仕様になった。08年には液晶画面がカラー表示の「たまごっちプラスカラー」(税別4800円)を発売。部材構成が複雑になり価格も大幅に上がったが、表現の幅が広がった。

購入層のターゲットも初代は女子中高生だったが、復活の際は女子小学生に変更した。中高生以上には携帯電話が普及し、90年代ほど電子玩具としてのたまごっちに訴求力はない。携帯に憧れる女児向けのデジタル玩具としてマーケティングを進め、狙い通り小学生女児を中心に人気は再燃した。

パターン数千万通り

この低年齢への配慮もあって、09年の製品からは、たまごっちが「死ぬ」という設定をなくした。飛田CTOは「アニメなどとの連動が増え、キャラクターに親しみを持つ度合いが増えたため」と説明する。代わりに世話をしないとたまごっちが「置き手紙」をして出て行く仕様になった。

そして今回、「死ぬ」機能が復活したことでネット上で議論が沸き起こるなど、再び消費者の関心を集めている。結婚「ミックス」を通じて複数世代を育てていき、外見の特徴を少しずつ受け継ぐ「遺伝」を楽しむ機能も追加した。親の特徴をそのまま反映するだけでなく「隔世遺伝」もあり、育つパターンは数千万通りに。「より一層、SNSなどで『こんな風に育った』と共有したくなるようにした」(飛田CTO)という。

発売初日に購入した19歳の女性は「早くたまごっちが成長してプロポーズし、ミックスさせたい」と待ち切れずに店内で封を開けていた。二十歳を迎えた定番キャラクターは今後も進化を続けていくだろう。

(企業報道部 花田亮輔)

[日経産業新聞8月15日付]

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