解説者の目(田中和仁)

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内村、難局で見せた強さ 体操個人総合連覇

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2016/8/11 16:04
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近年、見たことのない展開になった。常にぶっちぎりで体操の個人総合を制してきた内村航平(コナミスポーツ)が、残り1種目を残して他選手の先行を許しているなんて。

最初の床運動。団体総合の決勝では6種目めという疲労の蓄積からか着地でやや乱れたが、この日は内村本来のきれいな演技だった。あん馬も危なげない内容。つり輪も最後の着地をしっかり止めた。

常にぶっちぎりで勝ってきた内村=共同

常にぶっちぎりで勝ってきた内村=共同

ベルニャエフの演技、出色のでき

ここでどれだけ稼げるかがポイントになると思っていた跳馬でも、15.566の高得点。4種目を終えて百パーセントに近い内容だから、これまでの大会ならこの時点で確実にトップに立っていたところ。

それが追う立場に回るのだから、ウクライナのベルニャエフの演技を褒めるしかない。昨年の世界選手権では4位、ワールドカップでは何度か優勝しており、ぽっと出の選手というわけではない。

それにしてもこの日は、120%の力を出したといっても過言ではない出色のでき。団体総合決勝では6種目演技の内村と違って2種目しか出なかったため、この個人総合に向けた調整も万全だったのだろう。

勝負を懸けた残りの2種目。内村の平行棒は十分いい演技ではあったものの、着地がやや乱れ、首位との差は縮めきれない。残り1種目でベルニャエフとの差は0.901点。逆転にはかなりの高得点が必要で、正直、ちょっと厳しいかなとも思った。

常に悠々と逃げ切ってきた内村にとって、久々に追いかける立場で迎えることになった最終種目の鉄棒。個人総合で内村がこれほどの重圧を感じる場面は過去になかっただろう。

激戦の疲労もかなり蓄積されていただろう。内村が全6種目を通して演技するのは、団体総合の予選、決勝に続いて5日間で3度目だった。

おまけに団体総合決勝のこの種目では、アドラー1回ひねりで逆方向に戻ってしまうミス。15.166と点数を伸ばせていない。

内村という選手の真骨頂が鉄棒。離れ技でつま先まで伸ばせる選手はそうはいない=共同

内村という選手の真骨頂が鉄棒。離れ技でつま先まで伸ばせる選手はそうはいない=共同

内村らしい雄大さや美しさ感じさせる

その難局で見せた演技が、内村という体操選手の真骨頂だった。

序盤に行ったG難度のカッシーナ。最近は他選手もよく演じる離れ技だが、脚からつま先までこれほど美しく伸ばせる選手は他にそういない。審判から見ても減点する部分がほとんどない完璧な内容。中盤のアドラー1回ひねりもしっかり修正。同じ失敗を繰り返さなかった。団体決勝では若干乱れた、最後の着地もきれいに決めた。

内村らしい、雄大さや美しさを感じさせる演技で、団体決勝を大きく上回る15.800の高得点。直後に演技するライバルに重圧を掛けた。

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