2019年2月23日(土)

意外に使えない大手企業出身者

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2016/8/10 6:30
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リクルート、ライフネット生命などの人事責任者として20年以上、累計で2万人を超える就活生を面接してきた「プロ人事」、曽和利光さん。「学生は、根拠のない思い込みで失敗している」という曽和さんが、面接官の本音を語ります。第23回は「就活『大手志向』の幻想」です。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

■ベンチャーから大手、転職難しい?

初めての就職先は大手企業にするのか、中小・ベンチャーを選ぶのか。少なくない就活生がこの6月以降に直面し、また就活のスタート時点から頭を悩ませてきた難問でしょう。そこで、「大手からベンチャーへの転職はしやすいけど、その逆はあまりないから、やはり大手を選びたい」という就活生の声も聞きます。果たして本当にそうなのか。これからの時代には、まずベンチャーを選ぶほうが正解のケースが増えるかもしれません。

最初にお断りしておくと、転職者を選考するときに、前職の会社の社格を気にする採用担当者がまだ根強くいるのは事実です。特に一定年齢以上だと顕著でしょう。「それなりの会社に勤めていた人でないと……」という考え方で、書類選考に基準を設けるわけですね。しかし、今後5~10年たち、今の就活生が「転職適齢期」を迎えるころには、様相は変わっていると思います。

大手企業が新規ビジネスに乗り出すときのことを考えてみてください。例えば大手出版社がウェブを使ったメディアミックス事業を手掛けるとした場合に、ウェブメディア関連のビジネスに詳しい人材が必要となるようなケースは、今後どんどん増えるでしょう。そんなときには、大手出身者よりも、むしろベンチャーでそうしたビジネスに携わっていた人のほうが重宝がられるはずです。

大手は規模が大きいので分業制を敷いています。いかに関連部署にいたとしても、そのビジネスの全体がわかるとは限らないのです。私がライフネット生命で転職希望者の採用を担当していたときの話をしましょう。生命保険会社では加入の申し込みに対して、実際に保険金を支払う可能性はどれぐらいあるか、病気のリスクを査定しますね。大手だと「がんチーム」「生活習慣病チーム」のように分業していて、所属チームの病気のことしかわからない。「そんな人材は採りにくいなあ」と痛感したことを思い出します。

その点、ベンチャーなら規模が小さいですから、1人で何でもやらないといけないし、嫌でもビジネスの全体像を把握できるようになりますよね。そうしたベンチャーの人材が大手に転職する道筋は今でもありますし、これからその道が太くなることはあっても細ることはないといえます。

■人材育成にもベンチャーが向く

全体を把握する力が重要だという認識は、実はすでに大手も持っています。人材育成の方法をみればわかります。大手に勤める私の知人の中でも、その会社と資本関係のないベンチャーに出向している人がいますが、その理由は人材育成です。いわゆる「教育出向」で仕事の全体像をつかむ訓練を積ませ、視野の広い人材を育てるのです。大手のトップに「○○部門の出身者が就くのが不文律」なんて話も以前は多く聞きましたが、最近は子会社の社長から就任するケースも増えています。小規模といえども会社を統率した経験が買われるわけです。ベンチャーで全体像の把握力を磨いて「プロ経営者」を目指すという考え方もあると思います。

早期内定のトリセツ 就活探偵団が突撃取材

著者 :
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,188円 (税込み)

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