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近藤、発展途上の銅メダル 柔道女子48キロ級

2016/8/7 14:32
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【リオデジャネイロ=本池英人】柔道は6日、男女2階級を行い、女子48キロ級の近藤亜美(三井住友海上)が銅メダルを獲得した。優勝したパレト(アルゼンチン)に準決勝で敗れたが、3位決定戦でムンフバット(モンゴル)に優勢勝ちした。

柔道女子48キロ級の準決勝で敗れ天を仰ぐ近藤

柔道女子48キロ級の準決勝で敗れ天を仰ぐ近藤

楽な試合は一つもなかった。初戦の2回戦は昨年のマスターズで敗れていたロクマンヘキム(トルコ)との対戦を想定していたが、意外にも上がってきたのは無名のメキシコ選手。「ちょっと油断もあったのかな」と南條充寿監督が振り返る通り、得意の払い腰がなかなか決まらない。指導1つのリードで迎えた残り1秒で押さえ込んで一本勝ちしたが、続く3回戦ではさらなる苦境が待っていた。

今年2月の国際大会で苦杯をなめ、「借りを返したい相手」と意気込んでいたガルバドラフ(カザフスタン)に豪快な裏投げを食らい、技ありを先制される。寝技で何とか捕らえて逆転の一本勝ちを収めたものの、どこか歯車がかみ合わない展開。何より「近藤らしさ」がどこにも見えなかった。

「立ち上がりからちょっと硬さがあった。普段のような小気味いい、元気のいい柔道が展開できなかった」と南條監督は振り返る。もともと若さに任せた猪突(ちょとつ)猛進型で、相手の技をうまくいなす守備力があるわけではない。「ちょっと腰高になっていた。どんどん攻めて、相手に攻めさせないのが彼女の良さ。その攻めが遅かった」

それを修正できないまま迎えた準決勝のパレト戦。開始から30秒もたたないうちに袖つり込み腰で空を舞った。一本と判定されてもおかしくない技ありで完全にペースを握られ、30歳のベテランに逃げ切りを許した。

畳を下りる前から泣き顔だったが、間を置かずに3位決定戦が待っている。目を潤ませたまま向かった試合場で待っていたのは、直前の敗者復活戦でロンドン五輪王者メネゼス(ブラジル)を関節技で下したムンフバット。寝技にたけた元世界王者だ。この窮地が、沈んでいた心に火をつけた。

「ムンフバット選手の目の色が違った。中途半端にいったら奇麗に投げられるなと思ったんで、スイッチが入りました」。相手の気迫につられるように、徐々に動きに生気が満ちてきた。パワフルな寝技に耐え、多少強引にでも足技を繰り出す中で、ほとんど唯一といっていいチャンスが最後に巡ってきた。

残り10秒を切ってもつれ合うように倒れた瞬間、近藤がわずかにねじり込んだ分だけムンフバットの肩が先に床に落ちていた。有効と判定されたときには残り時間はゼロ秒。このサヨナラヒットのような隅落としで銅メダルが転がり込んだ。

試合を終えて礼をした瞬間、顔をくしゃくしゃにして涙をこぼした。「本当に悔しくて」。日本女子として最年少優勝という目標を掲げていただけに、勝ち取った銅メダルより、逃した金メダルに目がいってしまう。ただ、その色の違いにはやはり理由があるのではないか。

3回戦では試合中にコンタクトレンズが外れて見つからず、予備を持参していなかったため、練習パートナーの後輩から急きょ借りるというドタバタもあった。「度がいまいち合っていなかったんですけど」。試合への影響はなかったと本人は言うものの、4年に1度の大勝負への備えとしては十分といえないだろう。

事ほどさように、21歳の近藤には万事に甘さがついて回る。技の切れは一級品だが、油断や手抜かりが多いため国際大会では勝ったり負けたり。昨年のマスターズで初戦敗退した際には、南條監督から突き放すような一言で奮起を促された。「おまえが勝とうが負けようが、俺の生活には影響ない。おまえの柔道人生だろ」

もちろん厳しい言葉は期待の裏返し。五輪2連覇を果たした谷亮子が一時代を築き、福見友子や浅見八瑠奈が女王を争った伝統の階級。その後継者としてはまだまだ未熟だと、近藤自身も自覚している。「日本が先頭を走ってきた階級ですけど、自分はまだ3番手という状態。しっかり4年間でひっくり返せたらなと思います」。この銅メダルの価値は、東京五輪への道のりをいかに過ごすかで決まってくるのだろう。

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