2019年9月22日(日)

解説者の目(山口香)

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高藤と近藤、若さ出た柔道初日の銅メダル

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2016/8/7 13:18
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初日の日本柔道は金メダルに届かなかった。男子60キロ級の高藤直寿(パーク24)も、女子48キロ級の近藤亜美(三井住友海上)も銅メダル。どちらも力はあった。動きもよかった。それでも負けた。これがまさに五輪ということ。金メダリストになるには何かが足りなかったこと、それでもあきらめずにメダルへの執念をみせたことに価値がある、2つの銅メダルだった。

ともに銅メダルを獲得した女子48キロ級の近藤(左)と男子60キロ級の高藤

ともに銅メダルを獲得した女子48キロ級の近藤(左)と男子60キロ級の高藤

2人ともよくやった

高藤23歳、近藤21歳で迎える初めての五輪だった。率直な感想を言えば、2人ともよくやった。ただ、負けた試合は特にそうだが、やはり若さがみえた。なまじ調子が良かったために「いつでもチャンスがある」と2人は思い、2人に勝った選手たちはそれぞれ「チャンスは一瞬」と考え、その一瞬にかけた。その差が出たのだと思う。

近藤は長所も短所も含めて、近藤そのものだった。準々決勝、技ありを先にとられ後が無くなった直後に、カザフスタンの選手を執念で横四方に組み伏せた。あそこからのギアチェンジと逆転勝利は実力者であっても難しい。あれこれ頭で考えずに開き直って、自分を信じて突き進むことができる。3位決定戦でも、延長に備えたペース配分など考えず、4分間の最後の最後で投げを打ってポイントと勝利をものにした。だが、準決勝で対戦した海千山千のパレト(アルゼンチン)にはその良さも勢いも封じ込まれた。

けんか四つで珍しく右のつり手が引けた。しめたと近藤が思った瞬間に逆に先に担がれた。パレトが本気で投げの勝負に出たのはこのときだけで、あとは技ありのリードで逃げ切るべく、ほとんどの技は場外近くで仕掛け、寝技への展開も許さなかった。一度転がりだした負の流れを近藤は最後まで止められなかった。準々決勝の逆転勝ちの意識もあって、寝技にこだわり過ぎた部分もあった。立ち技でプレッシャーをかけ、パレトへの指導が重なるように仕向けながら、機を見て寝技で勝負という選択もあった。近藤にはルールも生かした二段構えの「ずる賢い柔道」ができるほどの成熟さはまだない。

高藤は、彼らしい思い切りが少しばかり鈍ったようだった。これは気後れというより、責任感がそうさせたのだろう。彼ならもっとおおらかに戦えると思っていたが、五輪に立って、これまで隠れていた一面が表出したのかもしれない。初めてみる慎重な高藤だった。

多くの日本選手が嫌う接近戦もかって出る、型にはまらない独特の技や攻めは相手に予測させない強さがある。それゆえに変則と異端の頭目のように見られてもいる。そんな高藤だが、この日ばかりは勝手が違って、攻めがやや無難なものになった。そうはいっても根っこのところは攻め一徹の選手である。手堅くいこうと思っても、急に守りが堅くなるものでもない。

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