2019年5月26日(日)

ボイラーも「IoT」三浦工業、保守に強み

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2016/8/4 6:30
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松山市の三浦工業本社の門をくぐり、受付の脇にある扉の向こうに目を向けると、パソコンのモニターが20台近く並ぶ大部屋があった。

ボイラーのメンテナンス風景

ボイラーのメンテナンス風景

「近年『IoT』がもてはやされていますが、当社は27年前からやってます」。担当者が話しながらパソコンを操作すると、画面上にボイラーの模式図が現れた。今まさに顧客の工場内で運転しているボイラーの内部温度や出力などをリアルタイムで見られる。

「ZISオンラインセンター」で遠隔監視するボイラーは実に5万5千台。稼働データを24時間365日取得し続ける。異常な高温や水圧の低下などを検出するとボイラーからセンターに自動的に警報が入り、状態に応じて全国約100カ所の営業拠点からメンテナンス要員が駆けつける仕組みだ。

主力製品は、水を金属管(缶体)に通しながら加熱し、蒸気が一方通行で外部に放出される「小型貫流ボイラー」。鍋を沸かすような大型ボイラーとは異なり、専門技師が不要で導入しやすい。町のクリーニング店から大工場の熱源まで幅広く使われている。三浦工業は食品会社や化学・繊維業界に強く、同方式で国内シェア5割強を誇る。

高シェアを保っているのは「いち早く顧客第一の体制を築いてきたから」(宮内大介社長)だ。ボイラー運転時に技師がいないため、いったん不具合が発生すると現場で即座に復旧作業を始めることができない。三浦工業のシステムと担当者が代わりに本社から見守ることで、安全稼働を維持できるようにした。

顧客第一を標榜するのは遠隔監視だけではない。汎用ボイラーの主力拠点である北条工場(松山市)が抱える製品在庫は約2カ月。営業部門の情報をもとに、正式受注前に先んじて生産を始めてしまう。納期をできる限り短縮するためだ。

故障時や定期的な保守メンテナンスで必要となる部品も約40万点すべてを常備。特注品であっても在庫を切らさないよう徹底する。

この体制を維持するため、ボイラーを締め付ける特殊ネジや合成樹脂製のタンクなどの部品・機構の多くを内製化している。開発・製造の手間はかかるが「当社が求める小ロット生産に対応できる他社がいない」ためだという。メンテナンス要員も専門業者には任せず自社で約1000人を擁する。新卒採用した従業員を4年程度かけて育て上げ全国に送り出す。

手厚い対応はコスト増につながるが、同社は高収益を維持している。2016年3月期の連結売上高990億円に対し経常利益は109億円。自己資本比率も80%弱に達する。収益の源泉として保守サービス事業が確立しているためだ。

ボイラーの販売時に保守サービスをセットで契約し、3年分のサービス料金を先払いで受け取る。定期点検や故障時の部品・製品交換を包括的に請け負う。一般的な製品の場合、料金は初年度から3年目まで年数十万円とみられる。

ボイラーの販売は工場建設や設備投資と直結するため、景気の波をもろに受ける。だが一旦納入した製品のサービス収入は影響されない。ただし、サービス収益を高めるには、部品・製品の交換量やメンテ要員の出動回数を低減しなければならない。無償の製品交換となれば「持ち出し」となってしまう。

ここで「IoT」で蓄積した膨大なデータが寄与する。故障に至る異常をデータ分析で割り出し、故障前に調整したり部品交換したりすることで、大きな破損を防ぐ。ボイラーの寿命に水質が大きくかかわるため、月に1回は顧客の工場から水を回収し、溶け込む成分もチェック。自社で水の改質に使う装置や薬剤も開発し、顧客の工場や季節変動に合わせ微調整して顧客に提供する。

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