/

「秘書はiPhone」ハワイに5カ月いても経営者はできる

本田直之・レバレッジコンサルティング代表に聞く(下)

経営学修士(MBA)を取った動機はハワイに住むためだったという、本田直之・レバレッジコンサルティング代表のMBAストーリー。後半は、MBAをテコに経営者への道を歩み出し、ついには夢を実現するまでの展開を語る。

サンダーバード国際経営大学院を卒業後は、最終的に独立することを念頭に、転職を重ねた。

将来、自分で会社を経営するのに必要なのは、IT(情報技術)と金融の知識だと考え、まずIT企業に就職することにしました。当時の日本のIT企業は、理系かIT企業の経験者しか採用しなかったのですが、サンダーバードでインターネットビジネスを勉強した経験を買われ、受けた企業すべてから内定をもらいました。特にネットワークコンピューターに関心があったので、日本オラクルに入社し、ネットワークコンピューター関連の事業のマーケティングの担当になりました。

2年後、シティバンク在日支店(現シティバンク銀行)に転職し、インターネットバンキング事業の立ち上げにかかわりました。新規事業の立ち上げは非常に面白かったのですが、ほどなくして、バックスグループの創業者から、「会社を上場させたいので一緒にやらないか」と声を掛けられました。

会社を上場させる経験は貴重だと思いましたが、昔からよく知っている会社だけに、様々な経営上の問題があることもわかっていました。そこで、「自分も出資し、かつ役員として入るなら」という条件を提示。希望通り、常務として経営に参加しました。シティバンクは1年で退職しました。

その時は、会社経営の経験も株式上場の経験もまったくなかったのですが、自分の中では、できると勝手に信じ込んでいました。根拠はありませんでしたが、サンダーバードでの大変な2年間を何とか乗り越えたことで、「やれば何とかできるかな」という妙な自信が付いていたのだと思います。

入社後は、役員として人事に大ナタを振るい、仕事のやり方も事業の内容もガラッと変え、2001年、上場を果たしました。

2004年、レバレッジコンサルティングを設立。その3年後には、ついに念願のハワイ暮らしを始める。

レバレッジコンサルティングは単なるコンサルティングはやりません。基本は、ベンチャー企業に資本を入れて役員になり、経営に直接関与するということをしています。投資育成事業のようなものです。現在、取締役をしている企業は全部で8社。ベンチャー企業の場合、上場企業と違って、取締役会は形式的な意味合いが強く、経営の意思決定はもっと日常のベースで下されます。だから経営に深くかかわることができるのです。

「モバイルコンピューティングの急速な進歩で日本とハワイを行き来しながら仕事ができる」

独立後、夢だったハワイへの移住の準備も進め、2007年にハワイで暮らし始めました。当初は完全移住のつもりでしたが、モバイルコンピューティングの急速な進歩で、これなら日本とハワイを行き来しながらでも仕事ができると思い、日本とハワイを行き来する現在のスタイルを確立しました。

実際、ハワイに行く前は仕事にデスクトップを使っていましたが、行ってからはノートパソコンに切り替え、さらにはiPhone(アイフォーン)に移行。現在は、仕事の8割をiPhoneでこなし、ノートパソコンを開かなくても平気になりました。iPhoneが秘書の代わりをしてくれるので、ひとりでもやっていけるのです。

経営者になるという目的は達成できましたが、こんなに自由に暮らしながら経営者が務まるなど、インターネットのなかった大学時代は、想像もしませんでした。最近は、1年のうち、ハワイに5カ月、日本に5カ月、残り2カ月はヨーロッパというペースです。食べ歩きが趣味なので、ヨーロッパでは主に食べ歩いています。

現在は、本業以外に、明治大学と上智大学で教えるほか、ワインスクールで講座も持つ。

大学の授業では、「自由に生きよ」みたいな話をしています。新卒で会社に入るだけが人生じゃない。いろいろな選択肢があるのだから、その中から自分にあったキャリアを見つけたらいいんじゃないかと言っています。そのためには、いろいろな経験をしてみることが必要です。幼稚園の子供に将来何になりたいかと聞けば、お医者さんとかおまわりさんとは答えるかもしれませんが、グーグルを超える会社を作りたいとはけっして言いません。人は自分が見たものしか選択肢になり得ないからです。大学生も一緒。だから、学生には、私のような変な生き方をしている人がいるということも知っておいた方がいいという思いで、話をしています。

学生からよく、MBAについての質問を受けます。そんな時は、留学はしたほうがいいと思うけど、MBAを目指すことが正しい選択肢かどうかはわからないと答えています。

ビジネススクールの授業は所詮、過去に起きたことの分析でしかありません。それでも大企業の経営には役立つかもしれませんが、時代の最先端のやり方を取り入れて立ち上がっていくベンチャー企業の経営には正直、あまり役に立たないと今は思っています。私自身、今行くなら、ビジネススクールではなく、テクノロジー関係や何かクリエーティブなことを学べる学校に行くと思います。そうした選択肢も踏まえ、若い人たちには、自分のキャリアを選んでほしいと願っています。

インタビュー/構成 猪瀬聖(ライター)

「私を変えたMBA」は原則月曜日掲載です。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン