証券18社が減益・赤字 4~6月、相場低迷で個人手控え
証券会社の収益が悪化している。29日に出そろった主要証券21社の2016年4~6月期の決算は、18社の最終損益が減益か赤字になった。株式相場の低迷で個人投資家が様子見姿勢となり、個別株や投資信託の販売が落ち込んだ。長期金利の低下(債券価格は上昇)に伴って債券販売は堅調だったが、個人の不振を補えなかった。
純営業 収益 | 最終損益 | ||
対 面 | 野村 | 3384(▲20) | 468(▲32) |
大和 | 1140(▲26) | 245(▲45) | |
みずほ | 1067(▲2) | 94(▲42) | |
三菱UFJ | 875(▲36) | 148(▲16) | |
SMBC日興 | 736(▲17) | 107(▲50) | |
岡三 | 189(▲21) | 28(▲38) | |
東海東京 | 142(▲30) | 14(▲72) | |
SMBCフレンド | 97(▲11) | 6(▲44) | |
いちよし | 49(▲9) | 5(▲32) | |
丸三 | 38(▲27) | 2(▲80) | |
岩井コスモ | 37(▲28) | 6(▲55) | |
水戸 | 30(▲21) | 1(▲75) | |
極東 | 29(微増) | 13(▲24) | |
東洋 | 24(▲44) | ▲2(赤字転落) | |
藍沢 | 24(▲35) | 1(▲80) | |
ネ ッ ト | SBI | 209(2) | 86(42) |
楽天 | 119(▲8) | 46(22) | |
マネックス | 106(▲18) | 2(▲85) | |
GMOクリック | 74(2) | 22(25) | |
松井 | 72(▲18) | 28(▲30) | |
カブコム | 48(▲15) | 18(▲31) |
29日に決算を発表したみずほ証券の純利益は、前年同期より42%少ない94億円だった。国内の個人営業が苦戦し、海外子会社の再編に伴い税金費用も増加した。小林英文常務は決算会見で「個人の投資心理が改善するには時間がかかる」と慎重な見通しを示した。
国内営業の部門利益は野村ホールディングスや大和証券グループ本社で前年同期より7~8割減った。投資信託では販売減少に加えて、株安や円高による時価の目減りで信託報酬も減少した。
一方で底堅かったのは海外事業だ。英国が欧州連合(EU)離脱を決定したが、株式や債券相場は総じて底堅く推移した。債券トレーディングなどの市場部門がけん引し、野村や大和の海外損益は黒字に転じた。
インターネット専業証券では明暗がわかれた。個人の株売買が低調で、松井証券やマネックスグループは純利益が減った。一方でSBI証券やGMOクリックホールディングスはFX(外国為替証拠金)事業が好調で増益を確保した。(川上穣)