解説者の目(田中和仁)

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五輪独特の重圧、克服し体操団体で「金」を

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2016/7/31 6:30
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日本の体操界にとって、悲願への挑戦がまた始まる。団体総合の金メダルの奪還。リオデジャネイロ五輪の体操には、内村航平(コナミスポーツ)の個人総合や、白井健三(日体大)の床運動などメダルが有力視される種目がたくさんあるが、日本の選手が心の底から熱望しているのは、2004年のアテネ五輪以来となる、団体の金メダルだ。

内村はどんなに難しい技でも決して難しく見せずに演技をする=共同

内村はどんなに難しい技でも決して難しく見せずに演技をする=共同

味わったことのない緊張感

08年の北京五輪、12年のロンドン五輪とも、日本は金メダルを有力視されながら、中国の後じんを拝して銀メダルに終わった。

ロンドンでは私も日本代表の主将として金メダルに挑んだ。しかし、実際に試合会場に入場した時に感じたのが、ぞくぞくするような、これまで味わったことのない緊張感だった。

団体総合予選、1種目目の鉄棒でいきなりミスが出た。演技中の失敗はつきものだが、気持ちを切り替えきれず、その後も引きずってしまった。チーム全体としても予選、決勝を通してミスが出てしまい、何より私は最後まで満足のいく演技はできなかった。

初めて世界選手権に出場した時も緊張はしたが、「4年に1度」の重みは実際に体験するまで分からない。

今から思えば、団体戦特有の難しさもあったようだ。本来、体操は個人競技。私自身も社会人になるまで、ほぼ個人戦だけで戦ってきていた。団体戦はチームのみんなで戦うという独特の楽しさがある半面、自分の演技がチームに影響するという緊張感がある。

しかも、舞台は五輪。自分では気づいていないところで、自然と気持ちが入りすぎていたのかもしれない。いざ演技になると、体が軽く感じたり、力がいつも以上に入ったりしてしまう。周囲がメダルを期待し盛り上がる中で、自分自身をコントロールするのは難しかった。

田中和仁氏

田中和仁氏

19歳の白井以外は前回大会経験者

しかし、私が体験したこれらの不安は、今回の日本代表なら大丈夫ではないだろうか。

ロンドン五輪では内村以外の4選手は五輪に初参加だった。だが、今回のメンバーは19歳の白井以外の4人が前回大会の経験者。ロンドン以降の実績でみても、順当といえる顔ぶれだ。

唯一の五輪初参加となる白井も、昨年の世界選手権では団体戦に出場して、金メダルに貢献している。また、種目別の床運動でも金メダルを獲得。圧倒的な自信があるから、五輪の緊張感にも圧倒されないだろう。逆に、その明るい性格からチームの雰囲気を盛り上げる力もあると期待している。

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