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歩型美 磨き続ける ニッポン競歩速く美しく(下)

このほどイタリアで開かれた競歩審判員のミーティング。昨年の世界選手権の映像を見て、ある審判員から「歩型違反ではないか?」と疑義が上がった。指摘したのは男子20キロで入賞した選手。後ろ側の足が地面から離れる際、跳ね上がるような動きになっていた。

競歩の歩型違反は両足が地面から離れる「ロス・オブ・コンタクト」と、接地した足が地面と垂直になる前に膝が曲がる「ベント・ニー」の2つ。足が跳ね上がるのは問題ないものの、そのことで両足が同時に地面から離れているように見えることがある。審判員は録画映像などを見ず目視だけで判定するため、紛らわしい動きは禁物。審判に目を付けられないためにも歩型の美しさは大切だ。

世界に約110人いる国際審判員は厳格な判定を目指し、どういう行為が違反につながるかを定期的に協議している。しかも「判定のトレンドは毎年のように変わる」と日本陸連競歩部長の今村文男。各国の連盟はそのトレンドを把握するのに躍起になる。

そうした流れをつかむには日ごろから審判員の判定の「癖」をつかむことが重要。日本は10年以上にわたり、国内の競技会に国際審判員を招いて対策を取ってきた。

初めて招へいしたのは2004年。イタリアから来日した3人の審判員に理想的な歩き方を指導してもらった。以来、五輪や世界選手権の選考会ともなる主要大会に頻繁に呼ぶようになった。

国際審判員には国際陸連の資格を持つ最上級の審判員と、アジアやヨーロッパなど地域レベルの審判員がいる。日本の大会では地域レベルの審判員が3人以上いれば事足りるが、今村はあえて最上級資格の審判員を招くようにしてきた。

五輪で審判を務めるのは最上級資格の国際審判員のみ。彼らの判定基準を知る目的に加え、谷井孝行(自衛隊)や森岡紘一朗(富士通)の美しい歩型を見せて日本の競技レベルの高さをアピールする狙いもあった。「国際審判員のドン」(今村)と呼ばれるイタリア人、ニコラ・マッジオをたびたび招いたことも、日本選手のレベルの高さが世界で知られるようになる一因となった。

今村によると、リオデジャネイロ五輪では過去日本に招いた国際審判員の何人かが判定に当たるという。どんなトレンドで判定するかという問題はあるが、知った顔が並ぶのは朗報といえる。

「歩型美」を維持する取り組みも余念がない。今村は現役時代に師事した1980年モスクワ五輪50キロ銀メダリスト、スペイン人のジョルディ・リョパルトを日本陸連競歩ブロックの技術アドバイザーに招へい、日本代表のフォームをチェックしてもらっている。

日本初の五輪メダル獲得の鍵について、リョパルトは「選手の技術、指導者の手腕、フォームなどの科学的分析。この3つが重要だ」と話す。どれもが高いレベルに達した今、悲願達成は手の届くところにある。=敬称略

(合六謙二)

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