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ボルト、伝説の最終章 好調ライバルと激突

陸上のリオ五輪代表選考会を兼ねたジャマイカ選手権の会場は、何とも言えない喪失感に包まれた。今月1日の男子100メートル決勝。主役となるはずの世界記録保持者、ウサイン・ボルトは太もも裏のけがで棄権した。

ボルトは今回の五輪でも最大の華=共同

4大会連続の五輪代表入りに黄信号がともったが、ジャマイカ・オリンピック委員会はボルトをリオ代表に選出。実績のある選手がけがで棄権した場合は救済できる、とする同国陸連の基準が適用された。ボルトは今回の五輪でも最大の華だけに、リオのスタートラインにも立てないとなれば一大事。出場が決まって、大会主催者、何よりファンも胸をなで下ろしただろう。

5月14日、英領ケイマン諸島でのケイマン招待で今季初戦に臨み、10秒05で優勝。同月20日のチェコでのレースは9秒98で制した。6月11日の地元の大会ではスタートでバランスを崩しながらも立て直し、9秒88をマーク。「シーズンベストが出てうれしい。完璧ではなかったが、勝てた」と喜んだ。

順調にタイムを伸ばしていただけに、五輪まで2カ月を切ったところでのけがは誤算。ケイマン招待の後には太もも裏に違和感を覚えていることが明らかになっていたから、危険な状態が続いていたのだろう。ただ、医師の診断によると負傷の程度は軽いといい、今月22日にはロンドンでのダイヤモンドリーグの200メートルで19秒89をマーク。カーブを滑らかに回れず、「課題を残したが、時間はある。大丈夫。大切なのは故障せずに終えたこと」。苦笑いしたものの、何とか五輪には間に合いそうだ。

自身がもたつくのとは対照的に、最大のライバルは好調ぶりを見せつけている。ジャスティン・ガトリン(米国)は3日の全米選手権を9秒80で優勝、リオ五輪代表に決まった。昨年の世界選手権銅メダル、21歳のトレイボン・ブロメルらを抑えた34歳は「頼もしい若手が出てきたが、年齢は関係ない」ときっぱり。

その言葉通り、近年は年齢を感じさせない走りを見せてきた。2014年に9秒77、15年は9秒74と、30歳を超えてから2年連続で自己ベストを更新。昨年は200メートルでも19秒57と自己最高のタイムを出した。

両種目で自己記録を塗り替えて臨んだ昨年の世界選手権(北京)。13年の前回大会で100メートル、200メートル2冠のボルトが左脚の故障に苦しんでいたこともあって大きな注目を集めたが、勝ったのはボルトだった。100メートルは9秒79と0秒01差でガトリンをしのぎ、200メートルは19秒55で完勝。王者の地位は譲らなかった。

リオの閉会式がある8月21日に30歳になるボルトは、今回を最後の五輪と位置付けている。北京、ロンドン大会に続く2冠に輝いて「伝説」の続きを紡ぐのか、それともライバルに王位を譲るのか。五輪ラストランに全世界の目が注がれる。

(合六謙二)

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