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「世界をリードする『人財』をどう育てるか?」

永瀬昭幸・ナガセ社長 東進ハイスクール理事長 経営者編第9回(8月1日)

英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めたり、米国では共和党の大統領候補が話題を呼んだり、国家におけるリーダーの存在が今、問われています。自分の利益や名誉のためではなく、真に国民のことを考えられる指導者が必要になっています。これは日本にもあてはまることだと思います。

高い志と教養、そして英語の発信力

そうしたリーダーを育てるためにはどうしたらよいでしょうか。子供のころから受験勉強や成績のことばかり考えて育ったら、大人になっても急には人格者になれません。私は長らく教育産業に携わった経験から、本当の意味でのリーダーを育てることが今の教育に求められていると実感しました。

日本ではゆとり教育に象徴されるようにエリート教育が長い間否定されてきました。日本経済が右肩上がりの時代はそれでよかったかもしれませんが、これからの激動の時代には世界の政治や経済をリードできる人財が必要です。あえて「人財」と呼ぶのは、国や企業にとって人間こそが財産だからです。

では真のリーダーに必要な資質とは何でしょうか。一つは志の高さであると思います。子供の頃から「リーダーとは何ぞや」ということを考える機会を与え、「ノブレス・オブリージュ」の精神を育てることが大切です。これは私流の解釈では「優秀な人間の責任と義務」と訳しています。自分の才能を世のため人のために生かしていきたい、という気持ちと目的意識を育むことです。大人になり社会という答えのない世界に出ても、論理的に考え最適な答えを導き、問題を解決できる人間になる。こうした力は日常教育の中で長い時間をかけ鍛えられるものだと思います。

もう一つは英語で堂々と自分の意見を発言できることです。日本人の学力は理数系科目は世界のトップ5に入りますが、英語のスピーキング能力は10年連続で世界最下位です。翻訳偏重の英語教育が間違っていたからだと思います。もちろん英語が話せるというだけでなく、自分の意見が言えるには幅広い知識と教養が必要です。もっと本を読み、自分の頭で考えられる力が求められています。

学校教育も重要ですが、今後は官民がもっと連携していくことが大切です。世界をリードする人財をどう育てればよいのか。これは私たちにとっても永遠のテーマであります。ぜひ皆さんのお考えをお聞かせください。

永瀬昭幸・ナガセ社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから

編集委員から

経済のグローバル化とともに日本の存在感が低下する傾向にあります。1人当たり国内総生産(GDP)や国際競争力はいずれも世界で20位以下。代わりにシンガポールや香港といった国や地域が躍進しています。

実力を伸ばす国や地域に共通するのはIT(情報技術)を使い、英語で情報発信し、国際的なハブとなっている点です。世界で通用するエリートの教育にも力を入れています。

英誌の大学ランキングで東京大学がアジアで7位に下がるなど、日本は教育の面でも制度疲労がうかがえます。画一的な教育制度が競争力を損なっているのかもしれません。

受験教育から生まれたナガセは今、学生の海外派遣やスイミング教育などにも力を注いでいます。なかなか変わらない日本の公教育に対するアンチテーゼともいえます。

日本の様々な課題は教育に端を発する場合が多いだけに、抜本的な教育改革が求められています。(関口和一)

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