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発電所完成→ファンドに売却 風力大手が事業転換

風力発電大手の日本風力開発(東京・港)は、自社では風力発電所を保有せず、開発に専念する事業形態に転換する。今夏に静岡県と秋田県で発電所の建設に着手するが、完成後はファンドに売却し、次の開発資金を獲得する。国内大手による風力発電事業では、初めてとなるビジネスモデル確立を目指す。

発電所を保有しないビジネスモデルを目指す(青森県六ケ所村の発電所)

日本風力開発はこのほど日本政策投資銀行と、国内の風力発電に投資するファンドの運用を始めた。名称は「日本風力開発ジョイントファンド」で資産規模は350億円。日本風力開発はすでに、保有設備の大半となる15カ所の発電所を同ファンドに売却している。

日本風力開発は現在、開発中の案件を国内で計30万キロワット以上持つ。まず静岡県掛川市で1万5千キロワット、秋田県八峰町に2万キロワット規模の風力発電所を今夏に着工。それぞれ2018年3月に運転を始める。稼働後は一定の発電実績を確認した後、同ファンドに売却。投資資金の一部を回収するとともに次の開発のための資金を調達する。

売却した発電所の運営や保守は、日本風力開発子会社のイオスエンジニアリング&サービス(東京・港)が引き続き請け負う。イオスエンジニアリングはこれまでのノウハウを生かし、日本風力開発以外の事業者からの受託を拡大、現在25億円程度の売上高を100億円以上に拡大する計画を掲げている。

12年の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)導入により、風力発電をはじめとする再生可能エネルギー事業は収益計画の見通しが立てやすくなった。一方、大規模で高効率な発電所ほど、初期に莫大な投資が必要で、資金調達が足かせとなる。

ファンドに売却するビジネスモデルは「キャピタルリサイクリング」と呼ばれ、米国などで盛んだが、日本ではまだ普及していない。ユーラスエナジーホールディングス(東京・港)など国内の風力大手は基本的に自社設備を保有している。

日本風力開発は1999年に設立。国内3位で、FITの開始以前から風力発電事業を軌道に乗せた。ただ、財務処理の見解の違いから、金融庁と対立し資金調達が停滞。15年3月に塚脇正幸社長と米大手投資ファンドのベインキャピタルが共同で設立した会社が、TOB(株式公開買い付け)でMBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表。同9月に上場を廃止した。

MBOと同時に、発電所ごとに借り入れていた負債を一本化。資金不足で修理ができず停止していた発電設備の補修を実施したことで、設備稼働率はMBO前の84%から94%に改善するなど事業再建を進めている。

(企業報道部 庄司容子)

[日経産業新聞7月20日付]

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