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航空機部品メーカーがつくるボールペン 職人技光る

岐阜県美濃市にある従業員7人の小さな航空機部品メーカーがつくる純チタン製ボールペンの人気が高まっている。2万4000円(税別)と高価だが、東京・渋谷の代官山蔦屋書店などの高級文具コーナーで、好調な売れ行きだ。精緻な航空機部品を手掛ける職人の技が光るペンの製造現場を訪ねた。

JR岐阜駅から車でおよそ50分、山あいにある精密金属加工業、シオンの工場が見えてくる。創業は1972年。航空機の主翼向け部品や印刷機器の部材など数百種類を製造している。同社の山田健社長は大手航空機メーカーに勤務した経験があり、ものづくりについて話し始めると止まらなくなる根っからの職人だ。

「注文書通り部品をつくるだけでなく、従業員にものづくりの楽しさを知ってもらいたい」との思いで山田社長が、2015年に立ち上げたのが自社ブランド「NEIGHBOR(ネイバー)」。灰皿やぐい飲みなどの商品群の中で、一番人気が純チタン製ボールペン「buddy-DX」だ。

金属加工は寸分の狂いも許されない精緻な作業。ネイバーの商品には、航空部品などの製造で培った高い加工技術が生かされている。ボールペンの材料のチタンは、軽くてさびにくい半面、硬くて削りにくい。何度も微調整を繰り返しながら、チタンの塊を工作機械で削っていく。しっくりなじむ手触りを実現するため、やすりで細かな凹凸を削るなど仕上げは手作業だ。

シオンの従業員は1年間に最低1つ、自分の「商品」を制作する。細かな決まりはなく、つくりたいものをとことん追求してつくる。愛煙家の従業員は灰皿やマッチケースを制作。得意の裁縫を生かした革小物を制作した女性従業員もいる。「商品を手に取る客の顔を思い浮かべながら、丹念につくり上げる」(山田社長)のがネイバーの最大の魅力。デザインを監修するフリーデザイナーの秋山乃佑さんは「一人ひとりが職人であり、デザイナーになることが目標」と話す。

ネイバーの商品は徐々に人気が高まり、注文数が急増中。最近は営業などで忙しく、自ら商品を製造する機会が減っている山田社長は「本当は自分も、つくりたくてたまらないんだよね」と、少年のように目を輝かせる。従業員が持つ確かな技術と豊かな想像力を生かしたシオンの挑戦には、職人離れの進む中小製造業がこれからを生き残るヒントがあるようだ。

(映像報道部 湯沢華織)

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