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女性の防災対策 いつものバッグに「防災ポーチ」を

NIKKEI STYLE

日経ウーマン

熊本地震から3カ月。住宅の被害は熊本・大分両県で、9万棟、避難している人も9800人余り。まだ体に感じる地震が発生し、予断を許さない状況が続いている。

東日本大震災から5年。そのときの教訓は生きたのか。「残念ながら、被災地以外の方からは記憶は薄らぎつつあったのだと、実感しています」。そう話すのは、防災や減災に関する情報発信を行う一般社団法人「防災ガール」で代表を務める田中美咲さん。熊本地震発生から2週間後に現地入りし、避難所での支援を行っている。

「例えば、全国から熊本に送られてきた支援物資。正直言って"ムダ"なモノがかなり多いのが実情です」。支援物資は現地での保管や処分に人手もお金もかかる。善意がかえって負担になるという、東日本大震災のときの情報が忘れられている。

また熊本地震で田中さんが改めて必要だと感じたのが、災害から「生き延びる」ための準備。「日本のどこに住んでいても、災害は避けられない。どこなら災害に遭わないかではなく、災害に遭ったときに生き延びるための準備をしてほしいです」

まずは、自分の住んでいる地域や職場の避難場所を確認する。「地震、水害、突風……災害によって適切な避難場所が異なることもあります」。日常生活のなかに防災習慣を取り入れてほしいとも言う。「特別なことではないのです。専用の防災グッズを用意して、大きな非常用持ち出し袋に詰めて…と思うと負担になりますから、玄関に空のリュックを置いておくだけでもいい。ラジオや水など必要なものが家のどこかにあれば、それらをリュックに入れればいいのですから」

働き女子にオススメなのは最低限必要なものを化粧ポーチにまとめ、いつもバッグに入れておくこと。例えばスマホの充電器、簡易トイレ、汗拭きシート…。熊本地震では、生理用品がなく女性たちが苦労していることがニュースにもなった。「防災ポーチの中にナプキンを1つ入れておき、生理になったら使って、また補充する……。普段使うものと考えれば、持ち歩くのもおっくうでなくなります」。保存食として役立つ漬物やピクルスの作り置きもいい。「毎日の食卓やお弁当の1品になるし、被災時にはビタミン不足を解消するお助け食材になります」

今年、20代の子たちと話していて「3月11日って何の日?」と聞かれ、ショックを受けたと田中さん。「これはまずいです。新たな災害が発生したとき、中心になって活動するのは20~30代の若い世代なのですから」。防災が当たり前の世の中にしたいと、活動を続けている。

災害に備えて準備しておくべきもの

まずは3日間、生き延びられる用意を。「グッズを詰めるリュックは普段使っているもののほうが使いやすい。保険証や現金は避難に必要なもの。『保険証と財布を入れる!』というメモをリュックに貼っておきましょう」

自宅に置いておくもの
 □ ラジオ □ 体温調節できるストールやポンチョなど
 □ 寝袋もしくはブランケット
 □ 3日分の食事(栄養補助食品やドライフルーツなど)
 □ 1人最低2Lの水 □ 下着 □ 現金 □ 保険証
 □ 個人で必要なもの →旅行に必ず持っていく化粧品や常備薬(1週間分)など

通勤バッグに入れておくもの
 □ スマートフォンの充電器(最低1日分or 2回充電できるもの)
 □ 常備薬 □ 生理用品 □ 簡易トイレ
 □ エマージェンシーシート □ ガーゼ □ ばんそうこう、綿棒
 □ 抗菌スプレー □ 汗拭きシート □ あめ
 □ タオル □ 使い切りカイロ □ ライト
 □ 笛 □ 水(500ml 1本) 
 □ 歯ブラシセット □ ヘアゴム
田中さんが語る、防災について考えておくべきこと
1.災害は避けられない。生き延びることを考える
 「まず災害に遭ったとき、どうやって生き延びるかを考えてください」。自分の住む地域のハザードマップを1度は見る、自宅やオフィスの近くにある避難所を把握する。地震なのか、台風やゲリラ豪雨といった水害なのかによって、適切な避難所が変わることも。「災害が起こった直後が一番、記憶に残りやすい。今すぐ見てみて」
2.日常生活のなかに防災を取り入れよう
 防災ポーチがあれば、移動時でも最低限の安心は確保できる。「家に置いておく備蓄グッズも特別な袋ではなく、普段から使い慣れたリュックに入れるほうが、いざというときにすぐに行動できる。普通に暮らしていたら、防災できていた――。これを目標に、日々、防災力を高めていくことが大切です」
3.1年に1度は見直しを
 いくら生活に防災を取り入れても、日々、非常食は食べないし、携帯トイレを使うことはない。1年に1度、備蓄品を見直し、使ってみることが肝心。「防災に正解はありません。関西地方に住んでいる人は3月11日より、阪神・淡路大震災の起こった1月17日のほうが身近かもしれない。自分にとって記憶しやすい日に、見直して」

(日経ウーマン 岡本 藍)

[日経ウーマン 2016年7月号の記事を再構成]

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