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米マイナーでプレーの異色監督見参 岡山県津山高
スポーツライター 丹羽政善

(2/3ページ)
2016/7/16 6:30
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ただ、浮田監督はこう言う。

「ウチのチームでは、ノーアウトの走者をバント以外で進める技術がまだない。大リーグのセイバーメトリクス(統計学を用いた選手の評価、分析手法)とかデータ野球というのは、もう少し高いレベルでの話です。このレベルではメンタルのほうが大切。緊張してバットを振れない子もいますから」

「勉強も大変。土日の両方に試合を入れることはない」という(浮田監督提供)

「勉強も大変。土日の両方に試合を入れることはない」という(浮田監督提供)

いやいや。大会中に監督が作戦を明かすとも思えず、「データを集めれば必ず法則性がある」とも話すので、この言葉には裏があるのかもしれない。そうした一方で、米国の野球にならっていくつかの手法を実践している。

まずは、投手の保護。

「通常、高校野球では、土、日に練習試合を組みますが、ウチは、両方とも試合を入れることはありません。シーズン中でもどちらかを休みにすることがあります。勉強も大変なので、その点も考慮していますが、なにより連投をさせたくない。土曜日にダブルヘッダーがあるとします。ウチの投手は2人なのでそれぞれ1試合ずつ投げたら、もう次の日は投げさせられません」

「彼らのゴールは高校野球ではない」

日本の高校野球界の物差しでみれば異端なのかもしれない。だが、米国の野球に触れれば、連投には抵抗があって不思議はない。加えて、連投をさせたくない背景にはこんな思いもにじむ。

「基本的には大学へ進学し、大学野球で自分を磨いてほしい。今はまだ体ができていない。彼らはこれからまだ伸びる。昨年卒業した子は大学で145キロの球を投げています。彼らのゴールは高校野球ではない」

高校野球がゴールという学校もあるはずだ。事情は学校によってそれぞれである。浮田監督は、「もちろん、甲子園を狙ってます」と強調するも、投手だけではなく、どの選手にも大学で野球を続けてほしいという。体ができたとき、まだまだ成長できる。そうすればもっと野球が楽しくなる。そこまでを見据えて指導している。

また、"考える力"も大切にしているそうで、それは米国の指導法に近い。

この春、レンジャーズのダルビッシュ有が、高校時代の練習を振り返ってこんな話をした。

「みんな、うさぎ跳びをやらされてましたが、僕はしなかった」

なぜか。

「感覚的にやらないほうがいいと思った。(しない方が)ケガのリスクもない」

うさぎ跳びの有害性は今や広く認知されているが、ダルビッシュのように考えられる人は例外的。ましてや高校野球の世界である。しかし、それでもダルビッシュはトレーニングメニューに関しても、やらされるのではなく、それが自分に必要なのかどうか、自ら判断した。

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