2019年6月20日(木)

ホテルフロントは任せて ヒト型ロボに普及モデル

2016/7/15 6:30
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サンリオ子会社のココロ(東京都羽村市)は、ホテルのフロント業務を担うヒト型ロボットの普及モデルの生産に乗り出す。タッチパネルやICカードリーダーと組み合わせて、宿泊客のチェックインやチェックアウトに対応する。価格をシステムと合わせて900万円からと、従来の特注品に比べ半分程度に抑えた。2016年度中に10体の販売を目指す。

ココロはホテルのフロント業務を担うロボットの普及モデルを開発する

ココロはホテルのフロント業務を担うロボットの普及モデルを開発する

ヒト型ロボットは女性の見た目で、座ったままの状態でお辞儀をしたり、まぶたや口を開閉したりする。高さ140センチメートル、幅60センチ、奥行き110センチと、人が座るスペースに収まる寸法にしている。開発は大詰めで10月までに完成する見通しだ。

目の前に人が立つとセンサーで感知し、自動で案内を始める。タッチパネルはタブレット(多機能携帯端末)を用い、宿泊客がパネルからチェックイン、チェックアウトなどの用件を選ぶと手続きに合わせてロボットが内容を案内する仕組み。

宿泊者は案内に従い、ICカードリーダーに専用カードをかざしてチェックイン、チェックアウトの手続きを済ませる。マイクをつなげば、音声認識技術を使い宿泊客との「会話」もできる。

タッチパネルを使い、ホテルの最寄り駅や観光スポット、コンビニや飲食店も案内する。ソフトウエアは協栄産業が開発し、ロボットを導入する顧客の要望に合わせて内容は変更する。増加する訪日外国人を想定して多言語の対応も可能だ。

人手不足に悩むホテル業界では、フロント係の負担を減らすため自動精算機を導入しているホテルが多い。ココロの山田敦也社長は「おもてなしを重視するホテルでは、精算機だけでは味気ないという声もある。案内ロボットの需要は確実にある」と話す。

ココロは、ハウステンボス(長崎県佐世保市)のロボットを活用して省人化を目指す「変なホテル」にもロボットを納入している。フロントにいる女性と恐竜のロボット計3体を開発した。国内外の博物館などにロボットを導入してきたが、従来は特注品が多く、2000万~2500万円程度と高価なため商用利用が限られていた。

普及タイプとして開発するロボットは価格を下げるために、身ぶり手ぶりなどの動きを抑えた。まばたきや口の開閉、お辞儀、頭を前後に動かす機能に絞り、頭部内のモーターを従来の50個から10個程度に減らした。

通常のコンセントにつないで電源を確保できるように、100ボルトの電圧でモーターを動かす方式に変えた。これまでの動力は静かで動きが滑らかな空気圧を採用していたが、200ボルトの電圧が必要なため、普及タイプでの採用は見送った。

ホテルのフロントは静かな空間というイメージが強く、頭部と胴体部分の空洞を遮蔽してモーターでも動作音が響かないようにした。頭部には制振材を用いて共鳴するモーター音を抑える。

ココロはロボット開発・メンテナンスの豊富なノウハウを持ち、ヒト型ロボットは1年間メンテナンスをしなくても安定的に動くという。ビジネスホテルのフロント以外にも大型商業施設や観光案内所、イベント受付にも引き合いがあるとみて売り込んでいく。

 ソフトバンクグループの「ペッパー」やシャープの「ロボホン」など、家庭や店舗などで、活躍するロボットは増えている。ただ、ホテルや飲食店などサービス業での活用は進んでいるとはいえない。
 国内総生産(GDP)や就業者数で全産業のうち7割を占めるサービス業は労働生産性の低さが指摘されている。政府によると日本のサービス業の労働生産性は米国の約6割と、諸外国に比べて低いという。
 政府は2015年に「ロボット新戦略」を策定。サービスなど非製造分野で活用するロボット市場を20年には15年の20倍の1・2兆円に拡大する目標を打ち出している。サービス業の生産性向上を「喫緊の課題」としており、ロボット活用による自動化の余地は大きいとみている。
 ハウステンボスは「変なホテル」で、ホテル業界の中で他に先駆けてロボットによる自動化を推し進めている。「ロボットを積極的に活用することで、人はより高付加価値な作業を担える」(ハウステンボスの沢田秀雄社長)
 日本のホテルのフロントはロボットが当たり前――。驚きの未来がもう目の前に迫っているかもしれない。

(企業報道部 広沢まゆみ)

[日経産業新聞7月15日付]

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