/

[FT]失敗国家となった南スーダン(社説)

Financial Times

辺地から出発して政権樹立に至るまで、これほど順調に移行を成し遂げた解放運動はアフリカに類例がない。だが、これほど壮大な失敗をした集団もまた他にない。スーダン人民解放運動(SPLM)だ。スーダンの歴代政権は、南スーダンを爆撃して人々を隷属させていた。そのスーダンからの独立を祝ってから5年、南スーダンの人々は自分たちの支配者も同じように残忍で腐敗しうることを思い知らされている。

先週来、キール大統領に従う政府軍と、SPLMからの分派を率いるマシャール副大統領に従う反政府軍が首都ジュバで戦闘を再開し、11カ月前に交わされた和平協定が危うくなっている。数万人の市民が脱出、あるいは教会や国連施設での避難生活を強いられている。死者も数百人にのぼる。国連平和維持活動(PKO)の部隊は、2013年の内戦勃発から何度も繰り返してきたように傍観し、無辜(むこ)の人々が虐殺されるのを防げずにいる。

近所の教会近くへ避難してきた人々。外国人の国外退避の動きも広がっている(12日、首都ジュバ)=AP

これは何よりも南スーダン指導部の失敗だ。また、独立につながる和平プロセスの構築に関わった多数の外国政府当局者にも、いくらかの責任がある。自決に道を開く05年の和平合意にスーダン政府が署名したのは、米国、英国、東アフリカ諸国によるトップレベルでの一貫した関与があったからにほかならない。その北と南の戦争を終わらせることに貢献した国々が、南の和平に対しては慢心さえうかがわせる家父長的な態度を取った。状況が悪化した今、彼らは目をそらしていた罪を免れないように見える。

世界で最も新しい国家が国造りに支援を頼む欧米諸国や国際機関は、自分たちが引き起こしたジレンマで身動きが取れなくなっている。新国家への支援に数十億ドルを投じながら、目に見える結果は貪欲な将軍や地域の軍閥指導者が動かす利益誘導の巧妙な仕組みと、国としての支援依存だけにとどまっているようなありさまだ。

停戦持続に国際関与が必須

支援国側は追加支援に消極的だ。しかし、外部の支援拡大がなければ、指導者が軍勢を統制することは難しい。南スーダンは破産している。ディンカ族とヌエル族の戦闘の結果、原油生産は半減した。もともと原油の大部分は先売りされており、残りの収入も輸出用パイプラインを持つスーダン政府と分け合わなければならない。和平は買わなければならないかもしれない、というのが不都合な真実だ。南スーダンの原油に最大の権益を持ち、国連PKOへの派遣要員が今週2人死亡した中国も力になりうる存在だ。

ニンジンをぶら下げても、解決策の一部分にしかならないかもしれない。紛争当事者の一部は人道に対する罪を犯している。彼らは制裁を受ける立場にあり、最終的には責任を問われるということを認識させなければならない。あまりに遅まきながらも国連安全保障理事会が検討に入った南スーダンへの武器禁輸は、ただちに実施されるべきだ。

その一方で、今週末に首脳会議を開くアフリカ連合(AU)は市民保護のための部隊増派を先導できる。AUは、まさにこの種の危機に備える待機軍を持っている。1万2000人の国連PKO部隊では不十分だ。

この2日間、不安定な停戦状態が続いている。外国人の避難には十分な時間だ。だが、現状よりはるかに強力なハイレベルの国際関与がなければ、和平の継続を楽観視できる理由はほとんどない。

(2016年7月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン