2019年9月19日(木)

鍵は将来見通す力 日米企業、成長格差の裏にCTO
CTO30会議(2)

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2016/7/20 6:30
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ベンチャーでも同様だ。例えば、「画期的なEV(電気自動車)を開発したテスラモーターズでは、圧倒的な存在感を示すCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏を、CTOのジェービー・ストローベル氏が技術面から支えている」(竹内氏)。EV搭載のソフトウエアをワイヤレスでアップデートしたり、Gigafactory(ギガファクトリー)で搭載する電池のコストを大幅に下げたり、コストを下げた蓄電池を家庭用にも提供して電力網までビジネス領域に取り込んだりと、テスラモーターズは業界の常識を超えた構想を次々と打ち出している。こうした時代のニーズを先取りして、新しい価値を提供し続けるには、将来を見通せるCTOの存在が欠かせない。

CTOの役割はエンジニアとは違う。技術的な知識を持っていることは同様だが、エンジニアは現在手掛けている技術をどうやって伸ばすか、どんな商品を開発できるかと発想する。CTOの発想は全く逆だ。「20年後の世の中に求められるものは何か。そこから考えて、どんな構成技術が必要か。そのうちのどの技術を自社の強みにするか」というように、すべて10年、20年先の未来像からのバックキャストで決める。CTOは技術だけ見ていては不十分ということだ。

■CTOを4つのタイプに分類

アントレプレナー型、技術マネジメント型、技術ユーザー型、技術スペシャリスト型―――。一見同じようではあるが、欧米企業のCTOにどのような人がいるかを調べると、一様ではないことが分かる。業種などにより「大別して4タイプに分類できる」とドリームインキュベータの石原氏は分析する(図3)。具体的には次の通りだ。

図3 CTOの4つのタイプ(出所:ドリームインキュベータが作成)

図3 CTOの4つのタイプ(出所:ドリームインキュベータが作成)

1.アントレプレナー型

技術がすぐにビジネスに直結しているIT(情報技術)分野に多い。米オラクルや米グーグルが例として挙がる。もともと研究者であるため、技術は十分に分かっている。研究してきた技術を実社会に導入するために起業したケースが典型例である。

2.技術マネジメント型

技術の進化は速いが、それがビジネスに結びつくまでに時間がかかる電機分野、化学分野、機械分野に多い。技術を事業化するまでの長い間、マネジメント能力が求められる。米デュポン、独シーメンス、独ボッシュなどが例として挙がる。日本でも多いのは、この技術マネジメント型である。

3.技術ユーザー型

既存の技術をいかにビジネス化するかが求められる。業界としては流通や小売りである。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や米フェデックスなどである。

4.技術スペシャリスト型

長期的な視点で開発を続ける医薬品や航空宇宙産業などが当てはまる。生粋の研究者が多く、技術の本質を理解していることが求められ、必ずしもビジネスに長けている必要はない。

日本の場合は自動車産業と電機産業の企業が多いため、2の技術マネジメント型が多くを占めそうだ。ただし、「近年は技術の進化が速まり、技術がビジネスになるタイミングが早まる傾向にある。アントレプレナー型に近い能力を求められる方向にシフトしている」(石原氏)と見てよさそうだ。

石原氏は、日本企業が参考にするべき事例としてデュポンを挙げる。「デュポンは事業領域を大きく変更させて時代に対応してきた」(石原氏)からだ。まず長期の社会ニーズに基づき戦略的に次のターゲット市場を決定する。そのターゲット市場に向けて、投資する事業とカットする事業を選別する。このターゲット市場の決定には、将来を見通すCTOの役割が欠かせない。

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