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[FT]離脱派の顔ジョンソン氏、「裏切り」で退場

政治エディター ジョージ・パーカー

Financial Times

英国のジョンソン前ロンドン市長は与党保守党党首選の運動を、ロンドンにあるセントアーミンズホテルで始めるはずだった。尊敬するチャーチル元首相が世界大戦中、作戦チームを立ち上げた場所でもあった。

ホテルに集まった約25人の保守党下院議員を前に話し始めたジョンソン氏。妻のマリナ氏も見守るなか、衝撃の不出馬表明をした。「議会の状況を考えると、私が首相になることはありえない」

ゴーブ司法相の存在が背景にあった。離脱運動の間、ゴーブ氏とジョンソン氏の関係は良好にみえた。だが6月29日ごろまでには、ゴーブ氏は考えを改め始めていた。ジョンソン氏による支持集めが「散々」で、主要議員もなびいてないとの情報を側近が伝えていた。

ジョンソン氏が残留派の保守党下院議員50人の集会に出席できなかったという情報も流れた。「ジョンソン氏を推そうと努力したが、難しそうだと徐々に分かってきた」と関係者は話す。

ゴーブ氏の友人によると、ジョンソン氏による英紙デイリー・テレグラフへの寄稿文が難解で、指導者としての資質を懸念する声が保守党内に一層高まったという。

非難の応戦も始まった。ジョンソン氏の友人はこの記事は「ゴーブ氏が校正した」と証言する。また党首選運動の混乱も、運動を率いたゴーブ氏が原因だと主張する。

29日夜、ある電子メールが流出した。書いたのはゴーブ氏の妻で英紙デイリーメールのコラムニストでもあるサラ・バイン氏だ。バイン氏がジョンソン氏の性格を疑問視する内容だった。

バイン氏はこのメールの宛先を誤り、結果として民放スカイニュースが入手したという。だが「流出を前提に書かれている」とジョンソン氏の支持者は話す。

真実がどうであれ、ジョンソン氏が出馬表明をしようかという日に大きな痛手となった。各紙は内容を1面で報じた。

ゴーブ氏は30日朝に決定打を加えた。午前9時すぎのプレスリリースで出馬を表明。ジョンソン氏の指導者としての資質に疑問を投げかけた。

ゴーブ陣営は事前にジョンソン氏に電話で知らせようとしたが、つながらなかったとしている。ジョンソン陣営は「着信はなかった」と反論する。

ジョンソン陣営ではある臆測が広がる。ゴーブ氏はキャメロン首相の辞任に罪悪感を感じ「ジョンソン下ろし」に加わったというものだ。

キャメロン氏やオズボーン財務相への親密度は常にゴーブ氏の方が上だった。「ゴーブ氏はオズボーン氏のためなら崖から飛び降りられるほどだ」とゴーブ陣営の人物は解説する。オズボーン氏がゴーブ氏の反乱に関わったとの見方も出ている。

ジョンソン陣営は怒り心頭だ。ある保守党議員は下院でゴーブ氏にくってかかった。「無秩序は労働党の特権でないことが証明された」と冗談を言う人も現れている。

ゴーブ氏は2014年のインタビューで首相就任の意欲について「その器ではない」と否定している。だがゴーブ陣営によると考えは改められた。「本気で狙いに行っている」

By George Parker

(2016年7月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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