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ラグビー日本代表、頼もしい成長と難儀な問題

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2016/7/2 6:30
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昨年のワールドカップ(W杯)イングランド大会後、初の本格的な活動となったラグビー日本代表は、6月にスコットランド代表と2連戦を行った。結果は連敗だったが、試合内容は日本の選手の力が付いたと感じさせるものだった。

攻め込む堀江。日本はスコットランドに気後れせず堂々とプレーした=共同

攻め込む堀江。日本はスコットランドに気後れせず堂々とプレーした=共同

高まった短時間でのチームの修正能力

心身両面での選手のレベルアップが見えた。スコットランドはラグビー界で「ティア1」と呼ばれる伝統国だが、かつての日本のように気後れすることなく、同格のチームとの対戦のように堂々とプレーできていた。W杯で初の3勝を挙げたという自信は、選手の心に大きな影響を与えている。

コンタクトプレーでも体の大きな相手に十分、通用していた。昨年のW杯を経験した選手だけでなく、新しい選手もそれは同じ。南半球最高峰リーグのスーパーラグビーに今年から日本チームのサンウルブズが参戦。1つ上の舞台で日常的に戦う経験は、日本代表の強化に大きな効果をもたらしている。

選手の成長を証明した点はもう一つある。短い時間での修正力だ。

例えば、組織的な防御。1戦目は防御ラインが前に上がる速度が遅かったため、少しずつ相手のランナーに食い込まれ、苦しい展開になった。2戦目ではラインのスピードを速め、ボールを持った相手から考える時間を奪うことで、思うようなプレーをさせなかった。

スクラム、ラインアウトというセットプレーも1試合目は苦戦したが、2試合目はかなり修正できていた。今回のチームの戦術的な中心となったのはサンウルブズの選手、スタッフら。シーズン前の準備期間がない中、厳しいスーパーラグビーを戦っていることで、短時間でのチームの修正能力がついている。

スコットランドに突進を阻まれる場面も。2戦目の日本は最後の20分にミスが続出した=共同

スコットランドに突進を阻まれる場面も。2戦目の日本は最後の20分にミスが続出した=共同

勝ちきれなかった要因とは…

それぞれの試合で1本ずつ奪ったトライも非常に素晴らしかった。特に2戦目のトライは、自陣の深い位置からボールを大きく動かし、一気に取り切ったもの。テンポの速さやアグレッシブさという魅力が詰まった、日本にしかできないトライ。試合の流れも一気に引き寄せることができた。

それでも、勝ちきれなかった要因は何か。W杯の日本は、最後の20分間でもう一度テンポを上げて攻め勝つという強みがあった。逆に、今回の2戦目の日本は最後の20分にミスが続出した。

攻撃の形もやや単調になっていた。密集の近くを短いパスを使って攻め続け、少しずつ前進できたのは良かったが、最後の最後でトライを取り急ぎ、ボールを落としたり、相手に奪われたりした。もう少し冷静に攻撃の決めごとを守ってプレーできたらトライに結びつけられただろう。

この2試合で日本のヘッドコーチを代行したマーク・ハメット氏が見せたのは、どちらかというとオーソドックスなゲームプラン。W杯時の日本のように「自分達はここで勝負する」というのをもう少し強調しても良かったと思う。もっとも、準備期間が短い中ではなかなか難しい部分ではあるのだが。

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