2017年11月24日(金)

障害者、週20時間未満OK ソフトバンクが雇用

2016/6/30 6:30
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 ソフトバンクは5月、障害者を雇うことを目的にした「ショートタイムワーク制度」を取り入れた。障害者の法定雇用率は週20時間以上働くことが条件のため、長時間働けない人の就業はより難しい。短い時間でも任せやすく、精神的な負担になりにくい仕事を洗い出し、週20時間未満でも雇う。発達障害の人ら10人が働く。先行導入した部門の例を参考に、年末までに20人に増やす。

社内便に使う封筒の仕分け作業などを担う(東京都港区のソフトバンク本社)

社内便に使う封筒の仕分け作業などを担う(東京都港区のソフトバンク本社)

 6月中旬のある日。東京・汐留にあるソフトバンクの本社の総務本部で1人の女性がてきぱきと手を動かしていた。

 任されているのは中身が空の社内便の封筒を袋に詰める作業。全国の事業所などから書類などを届けるために本社に集まった社内便の封筒を、各拠点に送り返す。

 彼女は労働時間が週20時間未満の「ショートタイムワーク制度」を利用して働くアルバイトだ。勤務するのは週1日、4時間だ。総務本部の石井圭氏は「まじめに取り組んでもらっているので助かっている」と話す。

 5月からこの制度を使って、人事総務、法人事業、IT(情報技術)の3つの部門で計10人が働き始めた。障害者の就労支援団体に打診して希望者を募り、面談を経て採用した。

■発達障害者を中心に

 制度づくりのきっかけは、2009年に始めたCSR(企業の社会的責任)活動だ。「魔法のプロジェクト」と名づけた活動で、障害のある子どもが通う特別支援学校などにタブレット(多機能携帯端末)を貸し、勉強や日々の生活を支援した。子どもたちが成長するにつれ、卒業後の就労も支援できないかとの発想が出てきた。

 障害者の雇用には週20時間の「壁」がある。障害者雇用促進法で企業や地方自治体は一定以上の割合で障害者を雇用するように義務付けられており、民間企業は2%だ。労働時間が週20時間未満だと算定の対象にならない。

 勤務時間が短いと仕事が細切れになってしまい、人を割り当てる手間もかかるため、求人が少ないという。週20時間未満でも雇用できる仕組みづくりに取り組むことにした。

 雇うのは発達障害の人が中心になる。身体に障害がある人は設備が整っていれば長時間働けることが多いが、発達障害の人は他人との意思疎通が苦手なこともあって一定時間以上の労働へのハードルが高い。期限に追われたり、人に指示されたりすることも難しい。

 プロジェクトに参加していた東京大学先端科学技術研究センターの協力で、長時間の複雑な仕事を短時間の単純作業に分解する手法を使った。その中から丁寧に指示すればこなせ、時間を区切って任せても問題がない作業を洗い出した。

 精神的に負担がかかる仕事も避けたうえで、受け入れる部門には「話した言葉の裏側を読み取る力が足りないことがあるので、指示を明確に盛り込んだ指示書を作ってください」などの注意点を伝える。

■年内に20人に拡大へ

 人事総務、法人事業、ITの3部門で洗い出しを進めた。人事総務では業務用端末の再起動や社内の携帯電話の回収、法人ではPDF化などの契約書の管理、ITでは資料の英訳や郵便物の発送などが出てきた。

 初年度はCSR室がアルバイトの人件費を負担するが、2017年度からは各部門の負担に変える。社員が高度な業務に専念しやすくなり、人件費も減らせると、社内で障害者を雇用する意向を聞いたところ、69ある部門のうち21の部門が手を挙げた。

 先行例を参考に対象部門を広げ、年内にも20人に増やす計画だ。デザインの能力がある人には広告用ポスターの制作を任せるほか、資料の英訳も想定する。数カ月おきに懇親会を開いて交流を図りながら定着をめざす。長時間働けそうな人には勤務時間を週20時間以上にすることも検討する。

(企業報道部 大和田尚孝)

[日経産業新聞6月30日付]

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