2019年5月21日(火)

スーパーボウルで実証、世界最強「ITスタジアム」
渡辺史敏 ジャーナリスト

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2016/7/12 6:30
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日経テクノロジーオンライン

米国シリコンバレーに、世界最高の「ファン体験」を生み出すために、高度にIT(情報技術)武装されたスタジアムがある。2016年2月に開催された、プロアメリカンフットボールNFL(National Football League)の優勝決定戦「第50回スーパーボウル」の舞台となった、「Levi's Stadium(リーバイス・スタジアム)」である。スーパーボウルを取材したジャーナリストの渡辺史敏氏に、リーバイス・スタジアムに実装されたITの全貌を報告してもらう。

リーバイス・スタジアムは2014年にオープンしたばかりの最新スタジアムだ。米インテルや米エヌビディアなどが本社を構える、カリフォルニア州サンタクララというシリコンバレーのど真ん中に立地している。

そのため米ヤフーやドイツSAPといったIT企業が公式スポンサー契約を結んでおり、最新のIT技術が導入されている。「スマートスタジアム」というニックネームを持ち、世界から注目されている。

リーバイス・スタジアムで開催された、2015年シーズンの優勝決定戦「第50回スーパーボウル」の試合の様子((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)

リーバイス・スタジアムで開催された、2015年シーズンの優勝決定戦「第50回スーパーボウル」の試合の様子((C)NFL JAPAN. All Rights Reserved.PHOTO BY AP Image)

スポーツのスタジアム、アリーナにおけるIT設備の強化は、近年トレンドになりつつある。スタジアムを訪れる観客の体験(エクスペリエンス)を充実させることで、生観戦の魅力を引き上げて「ファンエンゲージメント(愛着心、思い入れ)」を高めるのに不可欠、と考えられるようになっているからだ。

一方、スタジアム運営者やIT企業にとっては、数万人が同時にデータを通信するスタジアムは格好の"実験場"になる。通信に対する最大限の負荷テストをクリアすれば、その技術蓄積を他へ転用できる可能性がある。

そのため米国ではここ5年ほど、スタジアムが新設されるとどのようなITを実装しているかを広報するのは、NFLのみならず他のスポーツでも当然になっている。ただ、リーバイス・スタジアムはその中でも間違いなく突出した存在である。

■試合のリプレーをスマホで視聴

リーバイス・スタジアムに設置されたWi-Fiのアクセスポイント((C)森岡浩志、2015年12月撮影)

リーバイス・スタジアムに設置されたWi-Fiのアクセスポイント((C)森岡浩志、2015年12月撮影)

その設備の一端を紹介しよう。リーバイス・スタジアムで、スタンドやコンコース(通路を兼ねた広い場所)、バックオフィスなどに張り巡らされたデータケーブルの総延長は400マイル(約644km)に達する。

さらにネットワークポートは1万2000口、スタンドの天井や座席の下などに設置されたWi-Fiのアクセスポイントは1200基、Bluetoothを使ったビーコンも1200基設置されている。

ネットワーク全体の伝送速度は40Gビット/秒(bps)。そのうち、観客向けのWi-Fiサービスには上りと下りのそれぞれで10Gbpsずつが確保されている。このWi-Fiサービスは、公式スポンサーであるケーブルテレビ事業者の米コムキャストが提供し、ワイヤレスLANソリューション企業のアルバネットワークスが運営している。

観客席の上に設置されたWi-Fiのアクセスポイント((C)森岡浩志、2015年12月撮影)

観客席の上に設置されたWi-Fiのアクセスポイント((C)森岡浩志、2015年12月撮影)

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