イチロー フィールド

フォローする

偉大すぎるがゆえ? イチローの記録の光と影
スポーツライター 丹羽政善

(1/2ページ)
2016/6/27 6:30
保存
共有
印刷
その他

イチローが二塁に達すると、記録を期待して総立ちだった米サンディエゴのファンが拍手、声援を送る。イチローはといえば、何事もなかったかのようにエルボーガードを外し、近くまで取りにきたバットボーイに歩み寄る。普段と何ら変わらない動きだ。ただ、再び二塁に戻ったところで一層歓声が大きくなると、イチローは少し後ろに下がって、それに応えた。

「(声援に応えることを)しないことが、僕の矜持(きょうじ)だっていうところが少しありましたけれど、さすがに2本目はああされると、という感じですね」

さらに戸惑いがちに言う。

「僕としては、日米を合わせた数字ということで、どうしたってケチがつくことはわかっているので。で、ここに目標を設定していなかったので、あんまり(スタンディングオベーションなどを)やらないでって思っていたんですけれど。でもそれは止められないですから、無視するのも失礼ですし……」

15日に日米通算ながらピート・ローズ氏の大リーグ通算最多安打記録を更新した瞬間のことだ。とはいえ、タイとなった1打席目のキャッチャー前のボテボテのヒットのときは、こらえた。「5フィートの内野安打では、なかなかそれ(声援に応える合図)はできなかった(笑)」。しかしそのとき、ダッグアウトのチームメートは大騒ぎ。それには控えめに応じている。

気恥ずかしくも「すごくうれしかった」

「ダッグアウトからチームメートが喜んでくれている姿が見えたので、軽く」

もっともそれは気恥ずかしい半面、「すごくうれしかった」そうだ。

以前からイチローはこう口にするようになっている。

「自分の記録が特別な瞬間をつくるのではなくて、自分以外の人たちが特別な瞬間をつくってくれる」

今回は日米通算の記録であり、またローズ氏が否定的な発言を繰り返したことから、「冷めていた」とイチロー。「ピート・ローズが喜んでくれていたら、全然違うんですよ。それは全然(自分の気持ちは)違います。でも、そうじゃないっていうふうに聞いているので、だから僕も興味がないっていうか」。しかし、チームメートは冷めていなかった。初回、イチローが生還してダッグアウトに戻ってくると、手荒く祝福し、特別な瞬間を演出してくれたのだった。

さて、図らずもこの日、イチローは今との対比で、過去の苦い思い出に触れた。

「16年目なんですけれど、米国に来て。途中、チームメート、同じ仲間であってもしんどかったことは、たくさんあった」

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

大リーグコラム

電子版トップスポーツトップ

イチロー フィールド 一覧

フォローする
試合に備えた全体練習が始まる前、バットを手にゴードンと話すイチロー(右)

 ユニホームのパンツ、紺のアンダーシャツ姿のイチロー(マリナーズ会長付特別補佐)が、グローブを持ってフィールドに出てくるのは通常、午後1時半すぎ。客席には人ひとりおらず、売店の店員らがぽつりぽつりと姿 …続き (8/5)

1日の試合途中、ファンの声援にベンチから手を上げて応えるマリナーズのイチローさん=共同共同

 5月3日、ワシントン州タコマ。途中、事故渋滞にはまって、自宅から3Aのタコマ・レーニアズが本拠地とするチェイニー・スタジアムまで2時間近くかかった。午後3時過ぎ、ようやく球場に到着してざっとあたりを …続き (5/13)

3月の引退記者会見の言葉にはイチローの正直な思いがこもっていた=共同共同

 シカゴ・ブルズ時代に2度の3ピート(3連覇)を達成するなど、選手としての名声をほしいままにした元プロバスケットボール(NBA)のマイケル・ジョーダン(現シャーロット・ホーネッツオーナー)。先日も「ジ …続き (4/15)

ハイライト・スポーツ

[PR]