2019年4月20日(土)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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通算1000勝目前の白鵬 よき記憶に残る力士も目指せ

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2016/7/8 6:30
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10日に初日を迎える大相撲名古屋場所(愛知県体育館)で、横綱白鵬が通算勝ち星1000勝を目指す。大台まであと13勝。先場所は全勝優勝を果たし、目下29連勝中だ。その充実ぶりを考えると、アクシデントがない限り名古屋場所中の達成は濃厚だろう。

私の記録(歴代1位の1047勝)も白鵬にとっては通過点にすぎないのではないか。1100勝は楽々突破するだろうし、1200勝までいくのではないかという気がしている。焦点は達成できるかできないかではなく、どこまで伸ばしていくのかになっている。

名古屋場所に向けて6月29日、本格的に始動した白鵬=共同

名古屋場所に向けて6月29日、本格的に始動した白鵬=共同

こういう記録は大抵、引退間際にやっとのことで塗り替えるケースが多い。私は九重親方(元横綱千代の富士)の1045勝を超えるときはいっぱいいっぱいだったが、白鵬は現役バリバリのまま私の記録を超えていきそうだ。そこに白鵬のすごさを感じる。

世間からの目、一段と厳しく

いずれ記録を抜かれることに、本心から寂しさや悔しさはない。ただし、そういった記録を打ち立てていくほど、世間からより厳しい目で見られるということを指摘しておきたい。白鵬がこれまでに優れた結果を積み重ねてきたゆえに、ちょっとした言動に周りは過敏に反応する。だから、人よりも余計に立ち居振る舞いに気をつけなければならない。

土俵でも、ただ勝てばいいという立場ではない。最多優勝回数の記録など白鵬が打ち立ててきた数々の金字塔にふさわしい勝ち方を周囲が求めるのは当然だ。

だからこそ、最近の白鵬が繰り返すダメ押しや荒々しい取り口への批判の声がどうしても大きくなってしまうのだろう。私も最近の白鵬の相撲に後味の悪さを感じるのは否めない。

立ち合いで相手のほおを張ってからの顔面へのかち上げは、肘打ちのような形になっている。張り手で相手の顔を自分の思うところにずらし、そこにめがけて腕をぶつけにいっている。意識的に顔を狙っているようにしか見えない。

相手は横綱に対してそういう攻めはしてこない。胸を借りるつもりで、思い切り当たっていくのが横綱への礼儀だと思って挑んでいる。そんな相手の思いまで全て受けて立つのが横綱のあるべき姿だと私は思う。

現役時代に貴乃花と対戦したときは、勝敗にかかわらず、常に「全力を出し切った」という気持ちにさせてくれた。だから、余計に強いと感じたし、ほかの力士から尊敬されていた。

今の白鵬はそういう横綱像とは逆で、ただ相手に恐怖心を植えつけているだけの感じがする。反則ではないが、「そこまでやらなくてもいいのに」と思ってしまう。

そもそも、あんな打撃技を使わずとも白鵬は十分に強い。先場所13日目の稀勢の里との全勝対決では相手十分の左四つになりながらも余裕十分に下手投げで下した。ああいうオーソドックスな相撲が本来のスタイルなのに、相手にけがを負わせるかもしれない荒々しい攻めをあえてする理由が私には分からない。あの攻めだと楽に勝てるからなのか。それとも、強さを誇示したいのか。

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