さらばアローラ流投資 孫正義氏、苦悩の再出発

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2016/6/23 6:30
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 ソフトバンクグループの孫正義社長(58)が後継者に指名していたニケシュ・アローラ氏(48)が22日、副社長を退任した。孫氏が社長続投の意志を固めたからだ。孫氏が米グーグルから引き抜いて2年足らず。海外ベンチャー企業への投資を担ってきたが4月からは海外事業全般の統括を任されていた。成長の軸足を海外に移すキーマンの退陣。ソフトバンクはその穴を埋められるのか。

■インドVB界が衝撃

株主総会で退任のあいさつをするソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長(22日午前、東京都千代田区)=テレビモニターより

株主総会で退任のあいさつをするソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長(22日午前、東京都千代田区)=テレビモニターより

「なぜだ? インドのスタートアップ業界の発展が停滞するじゃないか」。アローラ氏退任の一報が伝わった21日夕方。インド電子決済サービス大手、ワン97コミュニケーションズのビジャイ・シェーカー・シャルマ最高経営責任者(CEO)はこうツイートした。これにはアローラ氏自身が「インドのスタートアップを支えていく。仕事が変わっても信条は変わらない」とフォローした。

シャルマ氏だけではない。インド人起業家の間で瞬く間に動揺が広がった。ソフトバンクが出資する配車サービス企業トップは「(今後も)ソフトバンクは会社の成長に欠かせない投資家だ」と訴えた。

インドに生まれたアローラ氏は1989年に渡米し、経営学修士号(MBA)を修めるとそのまま米投資会社で通信アナリストとして働いた。99年に渡欧しドイツテレコム傘下企業で活躍。2004年に米グーグルに入社するとめきめきと頭角を現し、11年に米本社の上級副社長に就いた。

孫氏の目にとまったのもこのころだ。アローラ氏の才覚をこう表現したことがある。「僕は子供の頃から剣道をやっていたけど、すっと構えた時に相手の強さが分かる。交渉の席だったが目つきや言動から、これはすごい人物だとすぐに分かったよ」。レストランでの会食中、テーブルにあった紙ナプキンに条件を書き込んでスカウトした。

ソフトバンクに招いた14年9月から迷わず孫氏が「後継者」と名指ししたアローラ氏。孫氏からは「将来の成長のための種まきを任された」。早速、海外の有望な起業家を探して世界を飛び回る毎日が始まった。アローラ氏の武器となったのが、欧米で築いたキャリアを通じて得た広範な人脈だ。かつての自分のように母国を飛び出して世界で活躍するインドの理系人材たちとのつながりは、特に深い。その人脈が成長株のスタートアップ企業の情報を呼び込む。

■「チーム・ニケシュ」で投資20件

例えば、インドで急成長する格安ホテル専門の予約ウェブサイト運営会社オヨ・ルームズ。ソフトバンクが出資するきっかけはアローラ氏の仲間から寄せられた推薦だった。アローラ氏はニューデリー郊外にある自宅に当時21歳のリテシュ・アガルワルCEOを招き、膝詰めで話し合うとこう告げた。「気に入った」。出資を即決した。

個人的な人脈だけではない。名付けて「チーム・ニケシュ」。アローラ氏はソフトバンクに加わると手足となる信頼できる部下をひとりまたひとりと集め始めた。

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