超高級ホテル「キンプトン」、日本上陸へ
英ホテル大手のインターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)とANAホールディングスは、高級ホテルの国内展開を加速する。両社の合弁会社が今後5年をめどに、日本未進出のホテルブランド「キンプトン」など3~5軒の開業を目指す。国が2020年に4千万人の訪日外国人を想定するなか、ホテル網を広げ需要を取り込む。

合弁会社のIHG・ANA・ホテルズグループジャパン(東京・港)のハンス・ハイリガーズ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。
同社はIHGとANAが06年に設立した合弁会社。運営受託かホテルブランドの「看板」を貸すフランチャイズチェーン(FC)方式で、32軒を展開している。このほど提携契約の期間を10年延ばし、36年までとした。
国内進出を検討するのは超高級ホテルの「キンプトン ホテルズ&レストランツ」と、高級ホテルの「ホテル インディゴ」。ともに内装などに趣向を凝らしたデザイナーズホテルだ。
キンプトンはIHGが15年に買収。宿泊価格は立地や季節で変わるが、米ニューヨークでは1泊1室約300ドル(約3万2千円)以上。夕方にロビーでワインを振るまい、客同士の交流を促すサービスを行っている。
インディゴはデザインや食事、アメニティーなどに各地域の特色を生かすのが特長だ。
「キンプトンは東京、インディゴは東京や大阪、京都などの都市や北海道・ニセコといったリゾート地が候補」(ハイリガーズCEO)という。
中級ブランドの「ホリデイ・イン」といった既存ホテルは地方の中核都市が候補で、拠点拡大に意欲を示した。
最高級の「インターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツ」については、「地方都市で通常より小規模のホテルを展開することも検討したい」(同)と語った。
訪日客の増加を追い風に、同社が運営するホテルの昨年の利用者は、14年比で2桁増となった。足元では熊本地震の影響も受けるが、ハイリガーズCEOは「若干減少するかもしれないが、引き続き従来と同じようなペースで利用者が伸びる」とみていた。
(企業報道部 新沼大)
[日経産業新聞6月10日付]
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