22歳伏兵、メダル候補に トランポリン・棟朝銀河

2016/6/5 3:30
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4年に1度の五輪は本当の力がないと勝てないといわれる。一方で4年に1度の「運」を引き寄せる人間が強いともいわれる。どちらも真実なのだろうが、トランポリン男子の新星、棟朝銀河(22、慶大)は後者により近いだろう。

棟朝は「自覚というか自信はある」と語る

棟朝は「自覚というか自信はある」と語る

リオデジャネイロ五輪選考会を兼ねた昨年11月の世界選手権。最大2枚の切符は北京、ロンドン五輪代表を分け合ってきた実力者3人の争いと見られていた。だが、上山容弘(ロンドン5位)と外村哲也(北京4位)がまさかの予選敗退。4位になった伊藤正樹(ロンドン4位)とともにリオ切符を得たのは、初出場ながら8位となった無印の大学生。先に演技した先輩の失敗を受け、手堅い演技内容に変えられた幸運も味方した。

「最近ひょっこり出てきた若造くらいにしか見られていないと思う。でも自覚というか自信はあります」。晴れ舞台を2カ月後に控えた胸中を棟朝は語る。昨秋から大学は1年休学中。この若者なりに大勝負をかけ、それを見事モノにしたのだ。

無論、運だけで五輪には出られない。演技の出来栄え、難度、高さという3要素の合計点で競うトランポリン。棟朝が強さを発揮するのは難度だ。リオに向けて準備する3回宙返りを5度行う演技構成(難度点18.0)は世界でも最高レベル。

棟朝を高校卒業まで指導した大泉スワロー体育クラブ(東京・練馬)の岡嶋正治氏は「最初から光るものがあった。新しい技をどんどんやらせた」と振り返る。体操と掛け持ちしていた小学3年の時、ルールもよく分からずに出場した全国大会でいきなり優勝した。棟朝も「昔から色々な技に挑戦して、頭でイメージしたことは大体実現できた」と言うから空中感覚は非凡だったのだろう。

高難度の技と引き換えに、演技の完成度や安定感は途上。着地の移動が多く、演技中断のリスクも小さくない。安定を欠く演技は精神面をも映し出す。現在、棟朝が指導を受ける中田大輔氏(シドニー五輪代表)は「演技直前に自信ないです、なんて言ってきたりする」と苦笑いする。

だが、そんな一面も変わりつつある。先月のワールドカップ上海大会で3位になり、初めて表彰台に上った。中国やロシアなど各国の五輪代表がほぼ顔をそろえた"前哨戦"での好成績は大きな自信になった。「五輪は普通にやれば決勝(8人)には行ける。メダルを目指します、と言っても口だけじゃなくなってきたと思う」と棟朝。

自信に満ちた言葉は五輪が決まった半年前とはもはや別人。北京、ロンドンとあと一歩届かなかった日本トランポリン初メダルは案外、この勢いにも期待できるかもしれない。

(山口大介)

 むねとも・ぎんが 1994年4月7日、東京都出身。体操と掛け持ちしながら7歳で競技を始め、中学からトランポリン一本。明大明治高1年だった2010年の第1回ユース五輪で銅メダル獲得。先月の全日本年齢別選手権を制し、初の日本一に。169センチ。

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