/

「沈み込み打法」で体重移動 飛距離アップ(下)

 若井安理さんはゴルフ歴こそ30年以上で、これまで幾人かのレッスンプロに習ってきたが、一向に上達しない。そこで一念発起、「逆説のゴルフ」を唱える久富章嗣さんこそ、自分を変えてくれるに違いないと昨年1月から生徒になった。スライスが持ち球で飛距離は180ヤードと乏しかったが、フックボールを学び、飛距離が大幅にアップしている。最終回も「沈み込み打法」で体重移動し、さらなる飛距離アップに挑戦した。
(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.30」から)

――もう一つ、若井さんは飛距離も出ていましたね。レッスン開始時の若井さんの自己申告ではドライバーが180ヤードとなっていましたが、今日のラウンドでは200ヤード以上出ていました。

若井 飛距離はその当時からは伸びたと思います。プライベートでもそう感じています。やはりフックを打つようになってからですね。それと、自信をもって振れるようになったことが大きいと思います。ときには曲がりすぎることもありますが。

久富 今日だって何度か、ボールの手前を探していたことがありましたね。

――私たちとあまり変わらなかったです。

久富 次は今日のショットの安定性を高めることと、飛距離とスコアが結びつくようにすることが大切です。私自身も左打ちをするようになってわかったことですが、飛ぶようになるとスコアがまとまらないということです。

――随分前に「飛び始めはスコアの崩れ始め」と、久富さんから聞かされた記憶があります。

久富 そうです。今、自分がそれに陥ってしまっているというわけです。

――左打ちで我々のレベルになってしまったわけですね。

久富 練習場ではボールが飛ぶようになって、今日はそのために、ショットとその飛距離に期待が大きくなりすぎていました。ですから、肝心の基本の考え方を忘れていたのです。100ヤードを打つスイングでいいということを。それで午後からはその心の基本を実践して何とか落ち着くことができました。

――久富さんは「いいショットが必ずしもいいスコアにつながるとは限らない」ともいわれていますよね。

久富 まったくその通りで、左打ちで100を切ったときはスプーンで150ヤード。それも曲がりあり、トップありだったのですから。今は200ヤード飛ぶようになって、もっとスコアが良くなるのではと期待してしまうのです。

――「飛ばそうと思えば飛ばず」という格言も聞きました。久富さんは自ら、自分の作った格言の正しさを立証したわけですね(笑)。

久富 そういうわけで、今日の私は生徒の若井さんに教えてもらったような気がするわけです。

――このシリーズで何人かの生徒さんとお会いしたわけですが、久富さんは生徒さんに恵まれていると思います。

久富 そうですよね。ありがたいことです。若井さんはこの後は、お仲間とのラウンドでも今日のようなスイングができるかですね。

――見えがありますからね。アプローチの例なのですが、転がしがいいのはわかっているのだけれど、カッコ悪いんだよなって言っていた人がいます。

若井 ドライバーの沈み込みはちょっとカッコ悪い気がしてしまいます。ですが、転がしのアプローチに関しては、久富さんを見てカッコいいなと思っています。

久富 見えも欲も人間ですから当然あります。ですが、強すぎる欲はプレーの害になってしまいます。例えば、飛ばしたいと振り回すと飛ばないし、寄せようとすると寄らないものです。飛ばしの面でいうと、300ヤード飛ばそうと思えば100ヤードしか飛ばないし、100ヤードでいいと思うと150ヤード飛ぶものです。

――禅問答のようですが、ゴルファーであれば大抵の人は経験があるのではないでしょうか。

久富 そうです。ただ、一般のゴルファーはその経験を忘れてしまい、その後のプレーに生かせないのです。その半面、欲はうまくなりたい、こんなショットがしたいという意欲にもつながりますから、すべて捨てろとはいえません。ですが、自分のレベルを知って、それに見合った大きさの欲を持つことが大切なのです。

――例えば、アプローチでは寄らなくても、どこでも乗ればいいやというくらいですか?

久富 そうです。

――今回は"飛ばし"がテーマだったのですが、結局、飛ばそうとしないことが飛ばしの極意ということになりますね。

久富 そう、コースではということです。練習は別ですよ。飛ばす練習は必要です。

――では、沈み込みスイングのいい練習方法というのはありますか。

久富 先ほど、若井さんにドライバーでウエッジの100ヤードショットをするように打ってみてくださいとアドバイスした話をしましたが、それは単なるたとえではなく、練習でもそうするのです。

――ウエッジとドライバーを交互に打つということですか?

久富さんの沈み込みスイング

久富 いいえ、ウエッジを使って、練習場でティーアップして打ちます。ティーの高さは中くらいのものを使います。それを沈み込みながら、ダフりながら打つわけです。手前のマットでダフるつもりで、ウエッジのリーディングエッジでティーをたたく感じです。そうするとフワッと80ヤードくらい飛ぶ。なんだ、こういうショットでも80ヤードはいくのだなと意識が変化します。

――それが飛ぶようになる秘訣だというわけですね。

久富 これは主に沈み込みのスイングづくりを目的とした練習です。これをやることでミート率が上がり、その結果、飛距離が伸びるというわけです。当然、沈み込みをする前よりは飛距離がアップします。

極端な沈み込みをやった結果、若井さんは普通に打っても体重が乗ったスイングになった

若井 久富先生はちょっと違う言い方をされていますが、結局、沈み込みスイングは正しいスイングをするためのステップという理解でいいのでしょうか。

久富 正しいスイングというのは、スイング軌道が一本であることと考えています。たとえば振り回す、いわゆる"マン振り"では軌道は安定しませんね。わかりやすい事象としては、"マン振り"ではフィニッシュが毎回違うということが挙げられます。

――フィニッシュが同じところに収まらないのは振りすぎということですか?

久富 そうです。スイングの基本幅というのがあります。両手を脇に開いて肩の高さに上げてみましょう。この180度の範囲が腕の動く領域です。それでもコック、アンコックを使うと、クラブヘッドは360度動くのです。この範囲を安定させるのがスイングの基本なのです。

若井 ということは、プロと我々の目指すところは一緒ということでしょうか。

久富 それは違います。プロは圧倒的な練習量で感覚が磨かれ、スイングが多少ずれても大きく外すことは少ないのです。我々は少ない練習量、少ないラウンド数で結果を出したいわけです。ですから、スケジュールも1年単位で組み立てているのです。

若井 久富先生のレッスンでは「あれやれ、これやれ」といわれて、やってみると新しい発見があって楽しいですから、このあとがさらに楽しみです。

――実は若井さんのご自宅が私の家とご近所なので、よければ次のラウンドレッスンもご一緒するというのはどうでしょう。

若井 いいですね。

――ということで、今日はありがとうございました。

若井 こちらこそ勉強になりました。ありがとうございました。

(文:山田誠 撮影コース:利根パークゴルフ場)

 ひさとみ・あきつぐ 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマチュアをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマチュア向けレッスンの実力者。
 わかい・やすみち 1957年10月18日、栃木県生まれ。169センチ、63キロ。会社経営。ゴルフ歴30年。年間ラウンド数15回。練習は2週間に1度。現在の平均スコア105。ベストスコア92。久富さんから2015年1月から習う。

書斎のゴルフ VOL.30

出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,404円 (税込み)

あなたのゴルフが100を切れない理由 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 久富 章嗣
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 810円 (税込み)

内藤雄士の「あすゴル! 」 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 内藤 雄士
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 940円 (税込み)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン