2018年7月23日(月)

火星の有人拠点建設へ 全自動建機開発

2016/6/2 6:30
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 鹿島は、火星や月の有人長期滞在施設の建設を目指し、全自動の建機の開発に乗り出す。ダムの建設現場で実証した自動建設システムの「クワッドアクセル」と呼ぶ技術を活用する。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携し、月には2030年ごろ、火星には40年ごろに4~6人が居住できる施設を想定して取り組む。

鹿島は2040年ごろ、火星に有人長期滞在施設を建設することを想定している=写真は米航空宇宙局(NASA)提供

鹿島は2040年ごろ、火星に有人長期滞在施設を建設することを想定している=写真は米航空宇宙局(NASA)提供

 クワッドアクセルは、全地球測位システム(GPS)や加速度センサーを搭載したブルドーザーや、自主開発する振動ローラーなどに、タブレットを介して指示を出す。コマツの情報通信技術(ICT)を活用したブルドーザーに鹿島が開発した制御プログラムを読み込ませる。熟練の作業員のデータからプログラムを作り、高精度の作業が確保できるという。

 プログラムした通りに作業するだけでは、不意の事故や作業の重複に対応できない恐れもある。鹿島は、建機同士が通信して効率よく作業を進める方式も検討中だ。建機が自分の位置を検出して相互に調整し合うことで、衝突を避けたり、土砂を同じところに盛るなどといった無駄をなくしたりできると期待する。

 すでに福岡県や大分県のダムの建設現場で技術を実証した。ロケットの発射場や滞在施設を建設する現場の地面のならしや土砂の運搬などに役立つとみている。鹿島技術研究所の三浦悟プリンシパルリサーチャーは「土木現場での活用を念頭に開発を進める。重機が自動化できれば、技術を地上で工事に転用することもできる」と話す。

 現在、地球からもっとも遠い建造物の国際宇宙ステーション(ISS)は、スペースシャトルなどで運んだ資材を、宇宙飛行士が地上の管制局と連携しながら建設した。宇宙空間なので土地のならしなどの土木作業は必要なかったものの、1998年の建築開始から完成までに13年を要した。

 一方、地球から離れた火星や月は通信に時間がかかる。そのため地球から遠隔操作や地上と連携して建設するには不向きだ。人が現地に宇宙船で乗り込んで単独で施設を造る方法もあるが、建築に時間がかかるため常駐して作業するのが難しい。

 JAXAは1月に、産官学で宇宙探査技術を開発する「宇宙探査イノベーションハブ」の研究テーマに、鹿島のクワッドアクセルを活用したアイデアを選定した。17年4月以降にJAXAの相模原キャンパスに作る屋内実験場で試験する。(科学技術部 矢野摂士)

[日経産業新聞6月2日付]

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