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株価指数への投資、わかりやすさ目安に カン・チュンド氏

日経平均株価などのインデックス(指数)に関心を持つ人が増えている。上場投資信託(ETF)など指数に連動する金融商品の市場が拡大しているからだ。多様化するインデックスをどう読み解き、投資に活用すればいいのかを聞くインタビューシリーズ。第1回目はカン・チュンド晋陽FPオフィス代表に、インデックス投資への関心が高まった背景と今後の可能性を聞いた。

投資を「ズームアウト」

――2007年から「インデックス投資アドバイザー」を名乗っている。

カン・チュンド 晋陽FPオフィス代表。1968年生まれ。CFPファイナンシャルプランナーとしてインデックス投資を中心に資産運用方法を個人投資家向けにアドバイスしている。著書に「ETF投資入門」(日本経済新聞出版社)など。

ファイナンシャルプランナー(FP)として独立する以前に米国のウェブサイトでS&P500種株価指数と同じ値動きをする金融商品があることを知り、投資経験が浅い自分でも理解できると買い始めた。投資はどんな『物差し』を活用するかが重要。個別株への投資は数千という銘柄に対し(個別企業という)短い物差しを使う。カメラの機能に例えるなら『ズームイン』だ。一方、インデックス投資は『ズームアウト』。市場全体におおまかに投資できる物差しがあることを国内の投資家に伝えたいと考えた。当時はインデックス投資の萌芽期で、一部の個人投資家が効率的で良い投資方法だと情報をネットで紹介し始めたばかり。ネット証券各社を通じ品揃えも増えつつあったが、知名度はゼロだった」

――その後、日本でもインデックス投資は急拡大しました。

「隔世の感がある。金融機関の対応がまったく変わった。店舗を構える銀行や証券会社はインデックスファンドを商品の品ぞろえに入れている。コストが安くて誰にでもわかりやすい金融商品であるというコンセンサスができつつある」

「日々のマーケットの『温度』を測る指数の従来の役割は知られてきたけれど、インデックスファンドやETFの普及で『インデックス=金融商品』となった。指数の提供自体がビジネスとして隆盛をきわめ、提供会社の競争が活性化した。普及しない指数もあったけれど、広く投資家に受け入れられる指数も生まれた」

――多様化するインデックスの中から自分にあった投資対象を選ぶ目安は。

「単純明快で投資家にとってわかりやすいものを選ぶことだ。目的やコンセプトが明確なインデックスで、国内の有力銘柄を集めた日経平均株価などは典型例だ。最近だと、例えば、米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは愛知、岐阜、静岡、三重の4県に本社がある企業だけに絞ったインデックスを作った。東海地方を拠点にものづくりにまい進する企業群というイメージが伝わってくる。関連する名証上場のETFの出来高はまだ大きくないようだが、発想として将来性を感じる」

「海外では米国のS&P500指数のセクターインデックスが面白い。銘柄全体を9業種に分け、それぞれが1つの大きな企業のように値動きをする。エネルギーと一般消費財とでは指数の動きがまったく異なる。ポイントは少ないセクターに分けたこと。投資家目線に立つのなら業種は少ないほうがいい。投資家は業種別の相場観を養うことができる」

市場切り分ける発想は無限大

――今後、有望と考える分野は。

大型株・中型株・小型株のような時価総額で分けた国内のインデックスはもう少し単純明確さを訴求する必要がある。日経平均株価などに採用される大型株と対になる小型株だ。新興株の主力銘柄で構成するJASDAQ-TOP20はあるが、採用銘柄は200社くらいほしい。前提として国内株式市場をカバーする指数があると助かる。米株式市場全体の値動きを示す『ウィルシャー5000』のようなインデックスだ。こうした全体を示す指数があれば、小型株は時価総額の下位2割などとすれば投資家は理解しやすいだろう。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)の採用銘柄以外の企業でインデックスを作る方法もある。日経平均の採用銘柄はだれでも知っている企業ばかりだが、設立から30年未満の会社だけのインデックスなど若い企業と歴史ある企業を分けても面白い。市場全体をどう切るかの発想は無限にある。もっとユニークで柔らかな発想があっていい」

カン・チュンド(姜 忠道) 晋陽FPオフィス代表

「アジア関連も興味深い。国内投資家がどこに成長の種があるのかと考えるとき、アジアが最も身近だが、具体的にどういう基準で投資すればよいかわからない。例えば、韓国・中国・台湾など東アジアに興味がある人もいれば、東南アジアだけに関心がある人もいるかもしれない。インドなど南アジアを加える手もある。アジアという土俵の中で時差があまりない日本の投資家を念頭に置いたシンプルなインデックスを作ることには大きな意義を感じる。米国も欧州もそれぞれの地域で作られた指数がグローバルに普及した」

「国」が1つの銘柄にも

――インデックス投資で投資家が注意すべき点は。

「投資家が陥りがちなのが、インデックスに連動しているのだから安全だと思い込むこと。リーマン・ショックのときのように大幅に下げることもある。暴風雨のときの防波堤がないと長く投資できない。最悪のシナリオを想定して安全資産である国内債券を保有するといったポートフォリオを構築することが、投資を長く続けるうえで必要だ」

「個人投資家が金融商品のリスクとリターンのバランスを考える際、市場を買うというインデックス投資はわかりやすい。自分の投資が市場の毎日の上がり下がりと一体化し、市場リスクしか取らない明瞭さがある。個別株への投資はうまくいけばいいけど、大きな失敗をするとトラウマになる」

「インデックス投資なら国内だけでなく新興国株式だって買える。世界中の投資家の視点から見て、将来は一つの国の市場が限りなく個別銘柄に近づいてくるだろう。世界中の投資家が国を買うとか、1つの市場を銘柄みたいに見始める可能性もある」

(聞き手はインデックス事業室 原田洋、大植健司)

日経平均株価などインデックス(指数)について専門家に聞く「指数を読む プロの視点」は毎月第2金曜日に公開します。日経平均について分析記事やクイズでより深く知ることができる情報サイト「日経平均 読む・知る・学ぶ」にも掲載します。

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