1位マツコ、SMAP上昇
16年タレントパワーランキング

日々移り変わりを見せるエンタテインメント界。今多くの人を魅了している、けん引力のあるタレントは誰か。次世代を担う伸び盛りのスターにはどのような人がいるのか。
日経エンタテインメント!では、2008年から年1回「タレントパワーランキング」を発表している。アーキテクトが3カ月に1度実施している、タレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワー」を算出、ランキング化したものだ。今回対象とした著名人は1280組。2015年と同様、直近の人気度を明確にするため、16年2月調査の数値を基にしている。
マツコが初の総合1位 安定の嵐、綾瀬はるか

今回の調査では、マツコ・デラックスが総合1位となった。14年に初めてトップ10入りし、15年は2位に。年々好感度を上げて、現在のレギュラー番組は8本、CM契約数は10社に上る。アクの強いキャラクターで08年頃ブレイクしたが、近年は説得力のある発言やトークへの共感が高まり、ついに芸能界のメインストリームを歩む存在になった。
2位は、前年首位だった嵐。7年連続で1位か2位という、抜群の人気を誇る。15年9月に宮城県で開催した復興支援コンサートでは、4日間で20万人を動員し、経済効果は93億円と報じられるなど、社会的なインパクトを与えた。
トップ3常連の綾瀬はるかは、2年連続で3位。6月に公開された主演映画『海街diary』が国内外で評価されたほか、『NHK紅白歌合戦』で2度目の紅組司会を務めた。
4位には、こちらも常に上位に入る阿部寛がランクイン。主演した10月クールの『下町ロケット』は、平均視聴率18.5%を取り、15年の民放連ドラでNo.1となった。
そして、5位にはタモリが浮上した。15年4月から『ブラタモリ』(NHK総合)が復活し、視聴率も好調。10月に放送された「富士山頂」と、16年1月の「小田原」の回では、番組最高となる14.7%を記録した。
6位から10位は、ジャニーズ勢が独占。16年に入ってから、グループの分裂危機が突如報じられたSMAPは、良くも悪くも関心を集めることになり、前年の25位から6位に大きく順位がアップした。嵐のメンバーでは、4年連続で10位内に入っている櫻井翔が7位、演技の仕事が高く評価された二宮和也が9位に。TOKIOは、14年の20周年での積極的な活動で得た支持をキープし、16年は順位を2つ上げて10位に入った。

11位以下では、男優では大泉洋が45位から12位へとアップ。NHK朝ドラ『まれ』で、何度も事業に失敗するダメな父親役で存在感を示した。NHK大河『真田丸』での真面目な兄役の評価も高い。女優では、86年生まれの2人が上昇。1月にDAIGOとの結婚を発表した北川景子が43位から13位に、『5→9(5時から9時まで)』でフジ"月9"に初主演した石原さとみが88位から27位に順位を上げてトップ30入りした。注目は、247位からの大躍進となった20位の有村架純。15年は『映画 ビリギャル』が興行収入28億円超のヒットとなったほか、連ドラ初主演を果たすなど、女優として実力が認められる年になった。また、好感度の高いauの「三太郎シリーズ」のCMに起用されたことも上昇の後押しに。
そのほか、お笑い芸人ではピースの又吉直樹が、『火花』で芥川賞を受賞したタイミングで認知度・関心度の両方の数値がアップし、81位から25位へと順位を上げた。
ドラマでのハマリ役で深田恭子が大幅アップ


31位から50位で最も順位を伸ばしたのは、133位から44位へとジャンプアップした深田恭子だった。近年は地道に連ドラや映画への出演を重ね、15年2月から放送された『セカンド・ラブ』では大人の恋を大胆に演じた。特に評価されたのは、16年1月クールの『ダメな私に恋してください』。貢ぎ癖のある残念なアラサー女子にふんし、年齢不詳のかわいらしさが評判に。平均視聴率は9.5%と平凡だったものの、キュートなスタイリングに女性が反応し、身に着けた衣装が飛ぶように売れるなど、大きな影響力を示した。
女優では天海祐希も65位から42位へと順位を上げた。10月クールの遊川和彦脚本の『偽装の夫婦』は、人嫌いな女とゲイのカップルの物語で、終盤に向けて賛否が巻き起こるなど話題になった。
その他目立つのは、お笑い芸人の面々だ。『ワイドナショー』(フジ系)が毎週のようにネットニュースになる35位の松本人志や、『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)を持つ内村光良、帯番組『ヒルナンデス!』(日テレ系)を持つ南原清隆と、個人で強力なレギュラー番組がある50位のウッチャンナンチャンら、芸歴30年以上のベテラン組が好調。90年代デビューで40代前半世代の38位のバナナマンや48位のサンドウィッチマンも、テレビ改編期に番組を増やすなど、上昇気流に乗っている。
男優では、15年1月期の『銭の戦争』が平均視聴率13.4%を取り、『ブラタモリ』でナレーションを務めている40位の草彅剛と、10月期の『遺産争族』に主演した47位の向井理が上がった。
個人での活動も好調 アンジャッシュが躍進

51位から100位では、さかなクンが初登場で52位に。男性タレントとしては、首位のマツコ、41位の松岡修造に次ぐ順位となる。また女優陣では、主演映画『ヒロイン失格』が興行収入24億円を突破した61位の桐谷美玲のほか、94位に広瀬すず、100位に吉田羊と、新顔が続々トップ100入りした。
お笑い芸人ではアンジャッシュが179位から81位へと躍進。コンビでの活動を大切にしつつ、個人の持ち味が生きる仕事に恵まれた。渡部建が4月から放送された『水曜歌謡祭』で、生放送の音楽番組MCという新たな挑戦をした一方で、近年俳優業も定着してきた児嶋一哉は、7月公開の映画『HERO』や単発でドラマに出演。異ジャンルでの仕事も好材料となり、芸歴20年以上の彼らにスポットが当たるようになってきた。
そのほか、バナナマンの日村勇紀が、相方で"レギュラー本数1位"の設楽統を上回って93位に。熱愛報道もすべて笑いに変えられるキャラクターの強さが武器だ。オリエンタルラジオは、173位から99位にアップして、100位内にすべり込んだ。15年末の特番『爆笑問題の検索ちゃんSP』で披露した新歌ネタ「PERFECT HUMAN」が、動画再生回数3500万回超でブレイク中。
アナウンサーでは、男性は54位の安住紳一郎、女性では76位の水卜麻美が最高位となった。
[調査概要]アーキテクト「タレントパワーランキング」調査(アーキテクト/http://www.talentsearch.jp/)からデータを入手 [調査方法]FAX調査 [実施時期]年4回(2月・5月・8月・11月) [調査地域]東京・千葉・埼玉・神奈川 [調査対象]タレントを一部入れ替えながら毎回約1200組を調査 [調査回答者]アーキテクトの登録モニターより4400人を抽出(調査タレントを4グループに分割。10歳から59歳まで5歳きざみで男女それぞれ50人を抽出。60代は男女それぞれ50人抽出)。
●タレントに関する質問項目
A.各タレントの認知について、次の3段階からひとつ選択してもらった。
(1)名前も顔も知っている(2)名前は知っているが、顔は思い浮かばない(3)このタレントを知らない
B.設問「A」で「(1)名前も顔も知っている」と回答したタレントに対して、「そのタレントがテレビ・映画・雑誌・DVDなどに出ていると関心があるか(見たい・聴きたい・知りたい)」を、次の4段階からひとつ選択してもらった。
(1)とても見たい・聴きたい・知りたい(2)見たい・聴きたい・知りたい(3)見たくない・聴きたくない・知りたくない(4)まったく見たくない・聴きたくない・知りたくない
●認知度、関心度、タレントパワースコアの算出方法
認知度:質問Aで、「(1)名前も顔も知っている」と回答した人の割合(%)。
関心度:質問Bで、「(1)とても見たい・聴きたい・知りたい」か「(2)見たい・聴きたい・知りたい」と回答した人の合計値(%)。算出母数は質問Aで「(1)名前も顔も知っている」と回答した人の数。
タレントパワースコア:「認知度」と「関心度」を掛け合わせた値。そのタレントに、どれだけの人たちが引きつけられているか、「人気度」を示す指数。タレントが人々を引きつける力(=タレントパワー)の指標とした。具体的には、「認知度」に「関心度」の加重ポイント(「(1)とても見たい・聴きたい・知りたい」に「(2)見たい・聴きたい・知りたい」の1/3を加えた合計値)を乗じて算出した。
※上記方法で算出した2016年2月時点でのデータを2016年版としている。タレントパワースコアは小数点第2位で四捨五入。順位は小数点第2位以下も含めてつけた。
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2016年6月号の記事を再構成]
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