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G7首脳が恐れる「Brexit」問題

25日夜の日英首脳会談。日本外務省の公式発表文によると、安倍晋三首相とキャメロン英首相は「日・欧州連合(EU)経済連携協定(EPA)の早期実現に向けて交渉を一層推進するために緊密に協力していくことを確認した」。「EU」という言葉に注目したい。今回の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の大きなテーマが英国の欧州連合(EU)離脱、いわゆるブレグジット(Brexit)問題だからだ。

サミットに先駆け、G7各国は20~21日に仙台市で財務相・中央銀行総裁会議を開いた。初日の議論で、かなりの時間を割いたのがこのブレグジット問題だった。

EUでドイツに次ぐ経済大国である英国がEUから離脱したらどうなるだろうか。「今後2年間の経済規模は約3.6%縮小し、住宅価格も10%下落する」というのが英財務省の試算だ。

この試算は英国内に向けたメッセージだが、仙台での中央銀行関係者の関心は「通貨ポンド」の行方にあったに違いない。外国為替市場では英国からの資金逃避でユーロやドル、円などに対してポンド安が広がるとの見方が多いためだ。

イングランド銀行にとっては投資家のジョージ・ソロス氏が1992年にポンドを売り浴びせたとき以来の「ポンド危機」となりかねない。このとき、英国は将来の通貨統合を見据えた欧州為替相場メカニズム(ERM)からの離脱を余儀なくされた。

問題はこうした事態が決して絵空事ではなく、現実に起こりうるということだ。ブレグジットを巡る英国での世論調査は賛否が拮抗している。英フィナンシャル・タイムズによる世論調査の平均値は「残留」の47%に対して「離脱」は40%だという。

経済減速への政策協調を話し合う今回のサミットで、キャメロン首相が日米やユーロ圏の首脳たちにブレグジット問題のはらむリスクをどのように説明し、危機対応の必要性についてどの程度、現実味をもって話し合うのかは今や金融市場や金融当局者の最大の関心事である。

英首相の同行筋によると、英首相は今回のサミットでブレグジット問題は大きな話題にならないとの見通しを示したというが、文字通りに受け取る向きは少ない。ブレグジット問題で離脱を前提とした「プランBはない」というのは首脳たちの応答要領通りの模範解答にすぎないからだ。

安倍首相は今回のサミットで「金融・財政・構造改革といった政策手段を駆使し、G7版『3本の矢』を放つ必要がある」(5月上旬の欧州歴訪での発言)とアベノミクスの拡散に強い意欲を示している。

日本の国内政治にとっては財政出動に消極的なキャメロン首相の歩み寄りが1つの焦点となる。しかし、グローバルな視点ではブレグジット問題の方がはるかに深く重い。

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