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6月3日から南米選手権 北中米勢が躍動の予感

サッカージャーナリスト 沢田啓明

6月3日から26日まで、全米10都市でサッカーの「コパ・アメリカ・センテナリオ」(コパ・アメリカ100周年記念大会)が行われる。

1916年7月、アルゼンチンの独立宣言100周年を記念して、アルゼンチンサッカー協会がウルグアイ、ブラジル、チリの代表を招いて国際トーナメントを開催。大会期間中、4協会の関係者が集まって南米サッカー連盟を設立し、以後、各国の友好と競技レベル向上を目指して南米選手権を行うことを決めた。これがコパ・アメリカの始まりで、アジアサッカー連盟(AFC)のアジアカップより40年、欧州サッカー連盟(UEFA)の欧州選手権より44年古い世界最古の大陸選手権である。

南米以外の地で初開催

創設から1世紀を迎え、南米サッカー連盟が北米で記念大会を行うことを北中米サッカー連盟に提案。近年、国内リーグの人気が高まっており、代表チームが躍進し、高収益が見込める米国が開催国に名乗り出た。コパ・アメリカが南米以外の地で開催されるのは、これが初めてだ。

もっとも、93年大会以降、域外の2カ国ほどが招待されて出場しており、メキシコはその常連。メキシコのクラブも98年以降、南米クラブ王者の座を争うコパ・リベルタドーレスに出場を許されている。南米サッカー連盟と密接な関係を保ち、南米連盟の"準加盟国"となっていることが近年のメキシコサッカー躍進の一因となっている。

日本も南米サッカー連盟から招待を受け、パラグアイで開催された99年大会に出場した(成績は1分2敗で1次リーグ敗退)。その後も、ほぼ常に招待を受けているのだが、「ベストメンバーを招集できない」などの理由から参加を辞退してきた。もしメキシコのように常連になっていたら、今回の大会にも招待されて貴重な経験を積めた可能性が高い。

コパ・アメリカ・センテナリオに参加するのは南米10カ国に米国、メキシコ、コスタリカ、ジャマイカ、パナマ、ハイチの北中米6カ国を加えた16カ国で、米大陸全体を巻き込むサッカーの祭典だ。このうち2014年ワールドカップ(W杯)のベスト16に8カ国が、ベスト8に4カ国が進んでおり、レベルは非常に高い。4カ国ずつ4組に分かれて総当たりで対戦し、各組2位までが勝ち上がり、以後はトーナメント方式となる。

ただし、南米各国にとってこの大会の位置づけは微妙だ。昨年、チリでコパ・アメリカが行われたばかりで、昨年10月に18年W杯南米予選が始まった。ここで好成績を収めても、より重要なのは今年9月に再開するW杯予選の方だ。一方、北中米各国は現在、18年W杯予選の第4ステージを戦っているが、今年11月に始まる最終予選に備えて格好の腕試しの場となる。

優勝候補の筆頭アルゼンチン

優勝候補の筆頭はアルゼンチンだろう。伝統の堅守が健在で、ボランチのマスチェラーノ(バルセロナ)を軸に、CBフネス・モリ(エバートン)、ボランチのクラネビッテル(アトレティコ・マドリード)ら中堅、若手も成長している。

攻撃陣もエースのメッシ(バルセロナ)を中心に、今季、セリエAで36得点を記録して得点記録を66シーズンぶりに塗り替えたイグアイン(ナポリ)、プレミアリーグで得点王ランキング2位となる24得点をあげたアグエロ(マンチェスター・シティ)らスターが目白押し。若手の成長株ディバラ(ユベントス)が欠場する以外は、ベストメンバーをそろえた。1次リーグの対戦相手はチリ、パナマ、ボリビアで、組み合わせにも恵まれた。

チリは近年の選手育成が実を結び、MFビダル(バイエルン・ミュンヘン)、FWサンチェス(アーセナル)らを輩出。サンパオリ監督が驚異的な運動量と素早い攻守の切り替えを土台とする戦術をたたき込み、14年W杯でベスト16、昨年自国開催のコパ・アメリカで初優勝と見事な結果を出していた。しかし、チリサッカー協会との関係が悪化したことから、今年1月に監督が辞任。後任監督は前任者の戦術を踏襲しようとしているが、これまでのような成長曲線を描けるかどうか。

ブラジルは自国開催で初の金メダル獲得を目指すリオデジャネイロ五輪を8月に控えている。当初、エースのネイマール(バルセロナ)をこの大会と五輪の両方に収集しようとしたが、クラブから「どちらか片方にしか出場を認めない」と通告され、リオ五輪を選んだ。五輪代表の主力7人を招集しており、この大会を五輪代表の強化に利用しようというドゥンガ監督の意図が透けて見える。チームの完成度が低く、18年W杯南米予選で6位に沈んでいる状況に加え、ベストメンバーでもないとあって優勝は難しいだろう。

古豪ウルグアイはFWスアレス(バルセロナ)、FWカバーニ(パリ・サンジェルマン)、CBゴディン(アトレチコ・マドリード)らを擁し、18年W杯南米予選の第6節終了時点で首位を走る。FWハビエル・エルナンデス(レバークーゼン)、CBラファエル・マルケス(アトラス=メキシコ)らを擁するメキシコとの対戦は1次リーグ屈指の好カードだ。

開催国の米、応援受け上位進出狙う

米国は1次リーグでコロンビア、コスタリカ、パラグアイという強豪ぞろいの組に入った。クリンスマン監督が継続的な強化を図っており、14年W杯に出場したMFブラッドリー(トロント)、FWデンプシー(シアトル・サウンダーズ)らも健在で、地元サポーターの応援を受けて上位を狙う。

コロンビアもチリと並んで近年成長が著しい。MFハメス・ロドリゲス(レアル・マドリード)、FWカルロス・バッカ(ミラン)ら欧州で活躍する選手が多く、19歳のFWマルロス・モレーノ(アトレティコ・ナシオナル=コロンビア)ら将来性豊かな若手もいる。

コスタリカは14年W杯でベスト8と大躍進したときの主力がそっくり残っている。

パラグアイは10年W杯でベスト8入りしたが、14年W杯は予選で敗退した。しかし14年末、元アルゼンチン代表FWのラモン・ディアス(93年から95年まで横浜マリノスに在籍)を監督に招き、伝統の堅守速攻に磨きをかけてチーム力が上向いている。

18年W杯予選の最中でこの大会を戦う意味がやや曖昧な南米勢よりも、地の利があり、南米強豪国の胸を借りて意気込む北中米勢が躍動するような気がしている。

強豪国の対戦とともに、普段は欧州で活躍するメッシ、スアレス、ハメス・ロドリゲス、イグアインらスーパースターの競演を米大陸のファンは楽しみにしている。

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