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攻撃的GK、新戦術に挑む 水球男子・棚村克行

1対1磨き いざ8強へ

日本ではマイナー競技の水球で、ポジションはGK。リオデジャネイロ五輪に出場する男子代表の棚村克行(26、ブルボンKZ)は、なぜニッチな道に進んだのか。「水球のGKをしていた2歳上の兄に憧れて、中学1年で水球を始めた時からGK一筋です」

五輪切符を逃した2012年ロンドン五輪アジア予選は兄の英行が代表の正GKだった。棚村は控えに甘んじ、「4年前は負けたことと試合に出られなかったことの二重の悔しさを味わった」。

五輪予選後に兄が腰を痛め、自分に正GKの座が巡ってきた。が、すぐに試練が待ち受ける。五輪予選敗退後に就任した大本洋嗣監督が、GK泣かせの戦術を打ち出したのだ。ゴール前を固めて守る水球のセオリーに反し、相手のパスコースに飛び込んでボールを奪い、カウンター攻撃に転じる世界初ともいえる戦い方を導入した。

新戦術「パスライン・ディフェンス」は、パスを通された場合にGKと1対1の大ピンチを招いてしまう。棚村は当初を振り返る。「味方がゴール前を固めている前提でプレーしてきたので適応するのに苦労した」

水球のGKは、水中では体を縮めるのが基本姿勢。シュートにバネのように反応するためだが、至近距離からのシュートには「ある程度体を開いていないと対応できない。そのバランスが難しい」。試行錯誤しながら1対1のシュートを止める技術を磨いている。

大本監督は「(棚村は)1対1に強く、前に飛び出してボールをインターセプトする能力も高い。パスライン・ディフェンスは実は彼がいるから思いついたんです」。棚村もボールの争奪戦に加わるので、「日本は守備で7対6の数的有利が作れている」と監督。

「相手の選手に威圧感を与えたい」と、あごに約10センチのひげをたくわえる。加えてそり上げたスキンヘッド。いかつい風貌ばかりが話題となるが、大本監督は「クレバーな男。そこにも注目してほしい」と強調する。

父親は早大法学学術院の教授で、3兄弟の長男は弁護士というインテリ一家で育った。「水球の理論に優れ、彼の意見は勉強になることばかり」と監督。試合中の守備陣形の指示を棚村に託しているのも信頼の表れだ。リオでの日本の目標は8強入り。冷静な頭脳と熱き心で6人のチームメートを後ろから鼓舞する好漢が、日本躍進のカギを握っている。(田村城)

 お家芸といわれる競技やメジャー競技以外にも、隠れたメダル候補や実力者たちがいる。日の当たらない道を歩んできたからこそ、「4年に1度」に懸ける思いは強い。(随時掲載します)

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