2019年7月19日(金)

「5000年に1度」の奇跡 レスター優勝の衝撃力
フットボールライター 森昌利

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2016/5/23 6:30
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要するにレスター優勝のオッズは、50万円のエサでもつけないと100円でも売れない商品だったのである。けれども、ブックメーカーとしては「不可能」「絶対にない」と判断しているので、この賭けに乗ってくる顧客は全員、店やサイトへお金を捨てにやってくる「カモ」のはずだった。

もちろん、オッズは変動する。本拠地での開幕戦となったサンダーランド戦を4-2で快勝し、次節、アウェーでのウェストハム戦で岡崎がプレミアリーグ初ゴールを決めて2-1の勝利を飾ると、「5000-1」は「2500-1」と半分のオッズになった。

それでもまだブックメーカーにすれば、レスター優勝に賭ける客は、カモがネギを背負ってやってくるようなもので、ただで金をいただく感覚だった。ところが結果的には反対に手ひどくカモられた。

レスター優勝で、300万ポンドを支払ったとされるのは「ベット365」だけはない。2700軒の英国最大の支店数を誇る「ラッドブロークス」もそうだ。

ただし彼らには、店頭に臨時ポスターを飾って「今季のレスター優勝で300万ポンドの払い戻し」と大々的に宣伝するたくましさもある。誰かが賭けに勝って大金を得たという話は、生き血を吸うブックメーカーのイメージを和らげ、新たな客寄せになるからだ。

来季のレスター優勝オッズは現実的

もっともブックメーカーは、アザールをはじめとする若き中心選手の成長が期待され、2連覇が確実視されたチェルシー、スターリング、デブルイネらの大型補強を実施したマンチェスター・シティー、名将の哲学を選手が吸収したとみられ、ファンハール監督の2年目に期待が膨らんでいたマンチェスター・ユナイテッドなど本命の優勝に賭けられた大金は全てのみ込んだ。

たいがい、こうした大穴決着になると、本命にプールされた多額の賭け金の全額がブックメーカーの純益に変わり、大もうけとなるが、今回のレスターの5001倍の場合は、それでも大赤字になる激烈な倍率だった。

「シングルベット(単勝)の記録としては間違いなく史上最高の倍率になった。もちろん今後、この記録が破られることはないでしょう」とベット365のフリース氏は話している。

来季の優勝オッズを見ると、現段階ではまだチャンピオンシップ(2部リーグ)のプレーオフ勝者(昇格チーム)が決まっていないので、19チームでのオッズになるが、最高オッズは「ベットフォード」がウエストブロミッチにつけた「1750-1」(1751倍)。これでも不可能に近い倍率だが、逆読みすると、きっとこのくらいに留めておけば、赤字は出ないというオッズなのだろう。

ちなみに来季のレスター優勝のオッズは「20-1」(21倍)から「30-1」(31倍)の間。5001倍だった今季とは比較にならないほど、きわめて優勝の現実性があるオッズになっている。

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